第2の“佐々木朗希問題”を起こさないための解決法
「報道を見る限りですが、今回、大船渡の監督は事前に佐々木を故障予防のため投げさせないということをアナウンスしていなかったようですね。僕は問題があったとすれば、そこだと思うんです。ひょっとしたら、本人もチームメイトも“え? あと1勝で甲子園なのに投げないの?”と困惑したのかもしれません。でも大会前から事前に“オレの方針は選手の未来優先だ。たとえ決勝でも故障予防のために投げさせない”と、チームの内外に伝えていれば、こういう問題は起きなかったと思うんです」 各学校が指導方針を公表すれば、何年かすれば、人気、不人気の傾向は出てくるだろう。里崎氏は、さらにプラス効果があるという。 「各学校が、それぞれ方針を打ち出せば淘汰されていくと思うんです。時代の流れからみてゴリゴリ派が敬遠されることになるのかもしれません。ただ各学校が独自の方針、独自のルールを決めていくなら、高野連が球数制限をするという手段を取らなくてもいいようになるでしょう。各学校が“うちは球数制限しますよ。逆にうちはしません”と、明らかにすれば、将来、プロ野球を目指すような選手は、球数制限を採用している学校に進むかもしれません。逆に、高校で潰れてもいい、甲子園に出たいという選手は、球数制限を採用していない学校を選ぶでしょう」 “指導マニフェスト”を公開すれば、必然、球数制限問題も解決へ向かうという考えだ。 では、里崎氏なら、どちらのチームを選ぶのだろう。 「僕はゴリゴリ派です。トップアスリートは、ある程度の練習量、厳しい環境がなければ育ちません。僕自身の野球人生を振り返ってみても、そうです。実際、アマチュアで健康第一でやってきた選手もプロに入れば、球団によってゴリゴリやられるわけですから、ある程度、負荷のかかった練習は必要なんだと思うんです」 そして、こう続けた。 「あくまでも個人の選択。もし、こういうやり方が進むなら、当然、結果が出てきます。あの学校はプロが育つ、あの学校は甲子園の常連校などの傾向が出てきて、選手も、結果を見て、学校を選択するでしょうから、今どきの子供たちが何を求めているか、が明らかになり淘汰されていくんじゃないでしょうか」 大胆な意見だが、SNSなどで情報が飛び交う時代だけに、学校側が指導方針をネットで、どんどん公開、発信して、“今どきの選手の判断”を学校側が仰ぐのも、ひとつの手なのかもしれない。 里崎氏の主張に一考の余地ありーーである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)