モウリーニョの選択肢と雲行きが怪しいニューカッスル
1月16日、ASローマがジョゼ・モウリーニョ監督を解任した。
2004年、チェルシーの監督に就任したとき、彼はみずからを「special one」と称した。この表現をもじり、「sack one」と皮肉るメディアも現れたが、モウリーニョの輝かしいキャリアをなぜスルーしたのだろうか。
FCポルト、チェルシー、インテル・ミラノ、レアル・マドリー、マンチェスター・ユナイテッドに多くのタイトルをもたらし、ローマでは一昨シーズンがカンファレンスリーグ優勝、昨シーズンはヨーロッパリーグ優勝である。
2000/01シーズンのスクデット以降、なにもいいことがなかったローマが戴冠できたのは、モウリーニョの手腕に負うところが大きい。ポルト着任以降の20年で、無冠に終わったのはトッテナムを率いた1年5か月だけだ。
稀代の名将のもとには、早くも複数のオファーが届いているという。だが、すぐに動きそうもない。少なくとも今シーズンは息を潜め、彼にふさわしい新天地を吟味するようだ。
それにしても、今冬の市場は不気味なほど静かだ。昨シーズンはミハイル・ムドリクに6200万ポンド(約112億円)、一昨シーズンはエンソ・フェルナンデスに1億500万ポンド(約189億円)を投じて世間を驚かせたチェルシーが、今シーズンは戦力の整備を優先している。
マウリシオ・ポチェッティーノ監督の構想から外れたダビド・フォファナが、ウニオン・ベルリンからバーンリーにローン先を変更した。
さらにクリストファー・エンクンクが負傷し、セネガル代表のニコラス・ジャクソンがアフリカ選手権出場のため戦線を離脱したにもかかわらず、3500万ポンド(約63億円)以上ならアンドレス・ブロヤ放出との情報まで流れるほどだ。FWの人手不足より、懐事情に重きを置かなくてはならない。
ロマン・アブラモヴィッチ体制下の不当な資金調達にも、いずれ対処する日が訪れる。厳罰は避けられず、現有勢力の維持は怪しくなってきた。