フリーアナウンサー・神田愛花『本場のディズニーで日本を思う。夏休み旅行記②』
フロリダで”宇宙”を満喫
この夏、私たち夫婦はフロリダに行ってきた。アメリカ最古の都市、セント・オーガスティンを経て、世界最大のディズニーリゾート″ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート″(WDW)へ。 【画像】個性あふれる神田愛花さんの直筆イラスト(1回~64回)はこちら その道中にどうしても寄りたい場所があった。理系の私にとって憧れの極みである、ケネディ宇宙センターだ。ほんの数秒だけでも、その場の空気を体内に取り込みたいと思い続けてきた。 車を走らせ1時間半、延々と続く真っ平らな草原の遠く左前方にポツンと、スペースシャトルの組み立て棟が見えてきた。大興奮だ。展示されている実物のスペースシャトル・アトランティス号の前で、鼻からゆっくり深呼吸をした。宇宙から帰還したその機体に触れた空気が、自分の体の奥深くまで入っていく。(すごい……)。目を閉じると、瞼越しに宇宙が広がって見えた。(生まれ変わったら行ってみたい)強くそう思い、来世の夢はパイロットだったが、宇宙飛行士と悩むことにした。 そしていよいよWDWへ! もともと私たち夫婦はそれほど濃厚なディズニーファンではない。だがこの春、私は運転終了を発表したスペース・マウンテンの乗り納めに行ったり、夫は東京ディズニーシーの新エリアでロケをしたりして、お互いディズニーの魅力を再確認。「せっかくフロリダに行くなら本場のディズニーも!」となったのだ。 敷地に入るや否や長く続く道路に「これハイウェイじゃないよね!?」と確認し合うほど、広大な敷地に驚愕。たった2日間で回るのは困難!? と怯んだが、攻略法を日本で勉強してきた甲斐もあり、なんとか主要なアトラクションは網羅することができた。だがフロリダの強い日差しの中、肥満に分類される中年男性の夫が、2日間も朝から晩まで歩き回れるはずがなく……ついに2日目の夕方、「疲れたからホテルでちょっと寝させて」と言い出した。って、ことは……(キターッ!! 愛花ちゃんのフリータイム!!)。二人で海外旅行に来た時は、突然出現する夫の休憩時間が、私にとって貴重な自由時間になるのだ。急いでホテルに戻り夫を寝かせ、一人でパークへ戻った。 お目当ては本場のスペース・マウンテン。私にとって日本で初めて乗ったジェットコースターで、思い入れがある。だからどうしても本場を体験しておきたかったのだ。 昼は技術トラブルで乗れなかったが、運行が再開。花火が上がる時間帯を狙ったので、待ち時間2分で乗れた。まず縦一列の座席にビックリ。日本は隣にもう一人座るので少し寂しい気持ちになった。 そしてスタート。すぐに宇宙服を着た何体もの人形が登場し、そこをゆっくり走行した。「今から宇宙に出ますよ!」というメッセージがよく伝わってきて、(これは日本にはない演出だ、さすが本場!)。 ◆宇宙空間に没頭したいのに…… さぁ、ハイスピードに突入!! のはずが、(……ん? あれ!? んん?)。あまりの違いに唖然とした。スピードが遅く感じ、まったく怖くないのだ。暗闇を高速滑走するスリルが魅力なのに、なぜかずっとうっすら明るい。おかげで天井の造りやこれから走るレールの方向、すれ違う他の車体まで全部見えてしまっていた。 さらに乗り心地はゴツゴツ&ガタガタ。違いを例えるなら、ニューヨークと日本の地下鉄の乗り心地の差のよう。あまりのゴツゴツとした振動で、我に返ってしまった。 トドメは音だ。スピーカーから流れる音楽や効果音が、天井や壁に反射して聞こえてきたのだ。その影響で、自分が音源から遠い位置にいるのかそうでないのか、走行中に想像し、思わず(音源はここだ!)と振り向いてしまうこともあった。 せっかくの宇宙空間なのに、次々と起きる現実的な現象に気が取られてしまう。(私の勘違いかも!?)と、もう一度乗り直してみたが、やはり同じだった。 どのアトラクションも、日本での体験をはるかに超えるWDW。夫と二人で沢山の感動と興奮を味わい大盛り上がりだった。だが、唯一私が大好きなスペース・マウンテンに限っては、(日本のほうが、宇宙空間への没入感が素晴らしい!)と思え、少し鼻が高くなった。 そんなこんなで、次回はこの旅行記のラスト。フロリダ半島の逆サイドまで移動し、野生のマナティーと泳ぐ!? かんだ・あいか/1980年、神奈川県出身。学習院大学理学部数学科を卒業後、2003年、NHKにアナウンサーとして入局。2012年にNHKを退職し、フリーアナウンサーに。以降、バラエティ番組を中心に活躍し、現在、昼の帯番組『ぽかぽか』(フジテレビ系)にメインMCとしてレギュラー出演中 『FRIDAY』2024年10月11日号より イラスト・文:神田愛花
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