旅企画やネットサービスで「楽しい時間」に…JR西日本・林秀樹岡山支社長の「時間」へのこだわり【岡山】
各界のキーパーソンに聞く新春インタビュー。3回目の1月8日は、JR西日本岡山支社の林秀樹支社長です。2025年は山陽新幹線の岡山-博多間開業から50年。「時間」をキーワードに鉄道の要衝、岡山の展望を聞きました。 (JR西日本岡山支社 林秀樹支社長) 「新幹線は速度向上をして、今は300キロ運転を山陽区間でしている。「エクスプレス予約」のように切符を買う手続きや駅でいろいろな準備ができる利便性を含め、時間を短縮してきたのが新幹線という乗り物」 1975年に開業した岡山-博多間。これにより東京から博多まで1000キロを超える日本の大動脈が誕生し、現在は約5時間で結ばれています。 岡山に目を移すと、この50年で鉄道橋でもある瀬戸大橋が開通し、山陰に加えて四国とも結節する全国有数の鉄道の要衝となりました。これらの鉄道を管轄し、中四国の人々の移動時間を変化させてきたJR西日本。一方で林支社長は、こんな反省の言葉を語りました。 (JR西日本岡山支社 林秀樹支社長) 「この50年は地方にあった人や富が東京に吸い取られた時期だった気がする。それに新幹線は大きく貢献していた気もする。これから半世紀はその逆の動きをつくる乗り物になればいい」 そのために始めたのが「楽しい時間」の提供です。2024年秋、岡山県北で初めて開いた大型アートイベント、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」はその一つ。JR西日本が企画やPRに協力し、想定の2倍を超える約52万人が来場。県北の自然や文化の発信につながりました。 (JR西日本岡山支社 林秀樹支社長) 「地域が廃れて鉄道だけが栄えることはない。鉄道の価値はそれが結ぶ地域の価値とイコール。一緒に組むと役に立つ会社だと思ってもらえたら新しいビジネスを育むベースができる」 地域とアートの融合に関心が高まる中、2025年4月に岡山・香川で始まるのが、100万人規模の集客を誇る瀬戸内国際芸術祭です。同じ時期に2820万人の集客を見込む大阪・関西万博も開かれることから、集客面で相乗効果を期待しています。 (JR西日本岡山支社 林秀樹支社長) 「岡山にとっても千載一遇のチャンス。岡山を軸に回るエリア、高松を軸に回るエリア、岡山・香川を一帯で周遊する旅行プランを提案できるかがポイント。地域と連携して岡山に行くといろいろなことが見られるというプロモーションなど(をしたい)」 また在来線でも「楽しい時間」の提供が必要だとしています。24年、岡山と山陰を結ぶ「特急やくも」を約40年ぶりにリニューアル。課題だった乗り心地を最新技術で向上させました。また森の芸術祭期間中に積極的に導入し、好評を得た観光列車もヒントになると言います。 (JR西日本岡山支社 林秀樹支社長) 「さーと行くだけでなく、車とは違って(車の)ドライバーを含めてワイワイガヤガヤ(旅行に)行ける。そんな時間を提案して旅を楽しめるよう、魅力アップをさらに進める」 さらに「無駄な時間」の削減にも力を入れます。新幹線のほか8本の在来線が結節し、中四国の鉄道の要衝であることを象徴する岡山駅。繁忙期には、みどりの窓口の待ち時間が約40分となることも。JR西日本は、混雑緩和のため会社が提供するインターネットから予約ができるサービスの利用を呼びかけています。 24年6月に就任した林支社長は、そうした呼びかけに加え、みどりの窓口に中国地方では初めてとなる整理券を導入しました。 (JR西日本岡山支社 林秀樹支社長) 「整理券があれば時間がフリーになり観光案内所に行くこともできる。買い物を先に済ますこともできる。(並んでいた時間を)いろいろな用途に使える。時間を売る会社として丁寧に、丁寧にやりたい」 「時間」へのこだわりに余念がない林支社長。自動車による深刻な渋滞問題を抱える岡山で、渋滞に伴う時間ロス削減に乗り出します。日常の足は自動車一択という感覚を、鉄道などの公共交通を組み合わせるという感覚へ転換を図ります。 (JR西日本岡山支社 林秀樹支社長) 「公共交通へのシフトを進めるウェーブをつくっていきたい。(鉄道は)ダイヤの面で心配をかけているが、地域の人と一緒に、時間の意味での鉄道の優位性を説明し、シフトに向けて検討してもらえる1年にしたい」 時代に合わせて価値のある「時間」を提供してきたJR西日本。今を生きる人の幸せな「時間」は何か。それを探す旅は2025年も続きます。
岡山放送