能登半島地震教訓に富山県防災訓練 黒部など3市町、抜き打ち形式で避難
能登半島地震の発生後初となる富山県の総合防災訓練が29日、黒部市総合公園をメイン会場に開かれた。魚津断層帯を震源とするマグニチュード7・3の地震が起き、大津波警報が出されたと想定し、黒部、入善、朝日の3市町の住民ら約1万2千人が参加。船やドローンといった多様な手段による物資輸送や、事前に参加者に開始時間を伝えない「抜き打ち」形式での避難など、元日の地震の教訓を踏まえた訓練に取り組んだ。 訓練は黒部市などで最大震度7を観測し、家屋の倒壊や津波、土砂災害が起こったと想定。住民は事前に開始時間を知らされておらず、防災行政無線やラジオの放送などで始まりを知り、公民館や小学校に避難した。 能登半島地震では、石川県内の傷病者がヘリコプターや救急車で富山県内の病院に運ばれた。今回の訓練では逆に、県内の傷病者を県外へ搬送する手順を確認。黒部市総合公園では、着陸したヘリに患者を乗せる流れを確かめた。
また、交通網が寸断して救援物資の搬入が遅れた経験から、この日はさまざまな輸送の方法を実践した。入善漁港沖では大型船からゴムボートに物資を移し、着岸したボートからトラックに積み替えて避難所まで届けた。朝日町では孤立した集落にドローンで物資を運んだ。 21日に記録的豪雨に見舞われた石川県能登地方の支援で県内の自衛隊や消防、警察が現地入りしているため、当初の予定より規模を縮小して行った。 終了後、新田八朗知事は「地震により県民の防災意識は高まっているが、100%というわけではない。改めて自分や家族、地域の防災体制を確認してほしい」と述べた。