【推しの子】1話場面カット

　【推しの子】の物語が幕を開ける衝撃の1期1話では、命を落とす寸前までアイドルであることを貫き通そうとしたアイが最後の最後に1つだけ絞り出した本当の気持ちが、YOASOBIによるOP主題歌「アイドル」と相まって大きな感動を呼んだ。90分の拡大版で放送された第1話を振り返ってみよう。 【映像】アイ「この言葉は絶対嘘じゃない」（1時間11分58秒ごろ～） 　アイドルグループ「B小町」の絶対的エースと呼ばれるアイは、人気も知名度も上昇中だった16歳のときにアクアとルビーの双子の兄妹を極秘出産した。2児の母であることを世間に隠したままアイドルを続けるアイ。活動も順調、子供たちとの生活も幸せそのものだったある日、事件は起こった。 　念願だったドーム公演の当日、自宅で準備しているアイを若い男が訪れた。男はアイの熱狂的なファンだったが、どこから情報が漏れたのか双子がいることを知っていた。男の目的はアイを殺すことだった。男は花束に隠したナイフでアイを刺すと「痛いかよ。俺はもっと痛かった苦しかった！アイドルのくせに子供なんて作るから……！」と身勝手な言葉で自身を正当化する。 　アイはこれまで、アイドルとしてファンに愛を振りまいてきた。それは、施設育ちで人を愛した記憶も愛された記憶もない自分が、本当は誰かを愛したいと思っているから。嘘でもそれを言い続けることで、いつか本当になると信じているから。「さんざん好き好き言って釣っておいてよ！全部嘘っぱちじゃねぇか！」と逆上する男に、アイは瀕死の傷を負いながらも「私にとって、嘘は愛。私なりのやり方で愛を伝えてたつもりだよ」と微笑みかけた。 　男が逃げ去った後、自分が助からないことを悟ったアイはアクアを抱き寄せる。アイはまだ子供たちには「愛してる」と伝えたことがなかった。それは、その言葉を口にしたとき、もしそれが嘘だと気付いてしまったら……と思うと怖かったからだった。アイはここで初めて「ルビー、アクア。愛してる」と口に出して伝えると「ああ、やっと言えたぁ……。ごめんね、言うのこんなに遅くなって。よかった……この言葉は絶対に嘘じゃない」と涙を流したのだった。 　アニメ【推しの子】は、赤坂アカ氏と横槍メンゴ氏のタッグによる、累計発行部数1800万部突破の大ヒット漫画が原作。YOASOBIによる、「嘘はとびきりの愛であり嘘が本当になることを信じて今日も嘘をつき続ける」というアイそのものと言えるアイドル像を歌った主題歌とともに大ヒットを記録した。物語は、産婦人科医のゴロー（CV：伊東健人）が大好きなアイドル・アイ（CV：高橋李依）の息子・アクア（CV：大塚剛央）に転生したことから大きく動き出す。目の前でアイを殺されたアクアは、復讐のため事件の真相を探ろうと芸能界に足を踏み入れていく……。2023年にアニメ第1期11話が放送され、2024年7月から10月にかけて第2期が放送。第3期の制作も決定している。 （C）赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会