20世紀前半の記録に胸アツ 創刊から終戦までの『子供の科学』の記事を再録
関東大震災の翌年、1924年に創刊された月刊誌『子供の科学』。この雑誌の膨大なバックナンバーを終戦の年まで読み直し、この期間の面白い記事を解説付きでまとめなおした『子供の科学完全読本 1924-1945』(小飼弾著、誠文堂新光社)が9月12日に発売される。B5版・208ページで、価格は税込み2420円。 興味深いのは各分野の未来予想。将来の都市の姿やエネルギー問題など、当時の科学リテラシーで解説される100年後の世界。その予想が当たっているか否か、現代人のわれわれが答え合わせだ。未来の交通の主役になると思われていた飛行船や、人類が月に行けるのは2050年と考えられていたことなど、予想が外れた記事も楽しめる。100年前の人々のリアルな夢や希望、科学知識、誌面を飾る精密な挿絵や図解なども見どころだ。 1928年頃からは誌面が戦争色を帯びていき、1937年に中国との戦争が始まってからは、驚くほど本格的な軍事科学記事が展開されている。もちろんプロパガンダ的な部分はあるが、実際に食料不足や日々の空襲に直面している子供達に向けて、役に立つ情報を届けようとしている編集部の姿勢も記録されている。 印刷所を空襲で消失した1944年以降、数カ月刊行が途絶えるが、なんと終戦直後の11月号に復刊。12月号では原子爆弾の解説記事が掲載されているというしたたかさにも注目だ。 本書の紙版には早期購入特典として、そんな1945年12月号が全ページ読めるデジタルブックのQRコードが付いてくる。