「歴史の評価が怖くないのか!」「私があなたたちを助ける!」韓国戒厳令で出た「韓流ドラマ」ばりの名せりふ
「不当な(非常戒厳を)処理する過程で、投票に参加しないという姿を、国民が、世界が、歴史がどのように見ると思いますか? 歴史の評価が怖くないのですか?」 結果的に弾劾訴追案が可決された12月14日の採決前には、議事堂の議員らにこう語って投票を促した。 「大韓民国は今、路上にある。しかし、道はつねに国民の中にあります。それが大韓民国の歴史です。議員たちが持つ投票用紙の重さはいつにも増して重い。それは歴史の重みであり、民主主義の重みです」
■「裏切り者」か、保守の英雄か 与党の代表ながら、尹大統領が出した「非常戒厳」を厳しく批判し続けた韓東勲(ハン・ドンフン)氏も、節目節目で名コメントを残した。 とりわけ2024年12月16日、国会で開いた記者会見での言葉には重みがあった。この会見で韓氏は、弾劾訴追案が可決された責任をとる形で辞任を表明した。 韓氏は自分たちが支えるべき尹大統領に弓を引いたとして「裏切り者」のレッテルを貼られ、韓国南東部の大邱(テグ)や釜山(プサン)、慶尚(キョンサン)道といった昔ながらの強固な保守地盤では、すっかり人気がない。
それでも辞任会見ではあえて「保守」にこだわり、発言を続けた。 「私たちは、わが党が輩出した大統領の不法戒厳を阻んだ。それこそが本当の保守の精神だ」 「私たちが陰謀論者や極端なユーチューバーに同調したり、彼らが商業的に生産する恐怖に蚕食されたりするなら、保守の未来はないだろう」 「(弾劾賛成の立場を最後まで維持したのは)どんなことがあっても大韓民国と主権者である国民を裏切らない、と心に決めたためだ」 国会には韓氏を支持する熱烈なファンたちが詰めかけていた。韓氏はその支持者たちに向かって、こう語り、去った。
「みなさん、私を守ろうとしないでくれ。私がみなさんを守るんだ!」 ■存在が機密の軍人も登場 今回の弾劾事態では、政治家のみならず、「非常戒厳」にかかわった軍人が次々にカメラやマイクの前に登場している。国会への出動を命じられたのは、陸軍特殊戦司令部の第707特殊任務団だった。 第707特殊任務団の団長、キム・ヒョンテ大佐は2024年12月9日、ソウルの戦争記念館前で記者会見を開いた。 キム氏は身元を明かすこと自体が機密に該当するとされ、本来であればメディアの前で話すことは認められていないというが、この日はベレー帽をかぶった軍服姿で、カメラの前に立った。