米海軍佐世保基地10年ぶりに一般公開 平和な光景とのギャップ
■米兵が日本語でお礼
米海軍佐世保基地のオフィスなどが集中する「メインベース」と呼ばれるエリアが、10年ぶりに一般公開された。かつては毎年開かれていた基地の街を象徴する恒例行事だが、長崎県佐世保勤務が3年目になる記者(27)にとっては初めての経験。普段は入れない基地のフェンスの向こうに何があるのか、市民の一人として足を踏み入れてみた。 米海軍佐世保基地の隊員と写真撮影する来場者 佐世保市の中心商店街から歩いて約10分。米海軍佐世保基地の正門ゲートは、市民が買い物ついでに寄れるくらいの距離にある。住所は「佐世保市平瀬町」だが、米軍に提供されている区域のため、普段は許可がない市民は入れない。 開放イベントがあったのは4月13日の土曜。ゲートで身分証明書を見せ、荷物検査を受けた。リュックの中を見せると米兵から日本語で「ありがとう」と言われた。市内外から約1万1千人が来場。開始直後はベースに入る列が約600メートルに達したといい、市民の関心の高さがうかがえた。 ゲート内は米軍施設。道路標識も英語表記になり、街並みも外国のように見えてくるが、いかにも外国風だと感じたれんが造りの建物は、明治時代に旧日本海軍が建造したもの。戦後に米軍が接収し、現在も倉庫や事務所として使っているという。やはりこの場所は佐世保の一部なのだ。
■基地が「より近く」
広場には来場者向けに数十店の出店が並び、サングラスをかけた米兵が腕まくりして豪快に肉を焼いていた。米軍関係者が普段利用する基地内の商店や飲食店も利用できた。ハンバーガーとフライドポテトのセットは14・5ドル。支払いは日本円(1ドル=150円換算)で2175円。コーラが飲み放題とはいえ高い。円の弱さを肌で感じた。 メインベースの公開は、米国の独立記念日(7月4日)などに合わせて年1回行われてきたが、2014年を最後に途絶えていた。約10年前にメインベースに入ったことのある市内の会社員男性(52)は「米軍の艦船をより近くで見られ、基地を強く感じられる」と語る。 佐世保の街を米軍関係者が歩くのは、市民にとって日常の光景になっている。かつて公開が恒例行事だった背景には、年に1度くらいは基地内を市民に開放し、日米の親善を深める目的もあったはずだ。