地方議会にIT化の風吹くか 「タブレット議会」とは?
実際に導入した神奈川・逗子市議会では
そんな中、神奈川県の逗子市議会では書類をタブレットで見ながら、議会を進めるタブレット議会を導入しています。2012年末から導入の議論を始め、議員に配布するタブレット端末のリース使用料などの年間コスト220万円は経費削減効果などで収められると判断、2013年6月議会では当時20人だった市会議員にタブレットを配布しました。さらに同年12月議会では市長以下の理事者側(行政側)にも配布し、オールタブレット議会を実現しました。現在、議会事務局を含め50台のタブレットを使っています。 同市議会事務局では「紙ベースの書類・資料などのコピーには大変、時間がかかっていた。タブレットに入れることで大幅に時間が短縮でき、人件費コストがかなり削減できている印象」と話しています。またインターネット上で作成したデータを保存できる「クラウド」も使用しており、議場での使用だけでなく、ダブレットを持ち歩けば自宅や外出先でも確認することができ、「タブレットがあることで市民に議案の内容や資料を示しやすくなったという議員の声も聞かれます」(同市議会事務局)。また、タブレット議会に対してのほかの議会からの視察は昨年度約40回に及んだそうです。
重要書類など情報流出などが課題
タブレットやパソコンの議場持ち込み禁止は、ほとんどが以前からの慣習で、各会派の申し合わせで決まっている地方議会が多いとみられます。こうした背景にはスマートホンやタブレットを使ったことのないベテラン議員が「時期尚早」と反対したり、使いたいと思っている若手議員が少数会派なので声をあげにくいという面が強いようです。 早大マニフェスト研の中村事務局長は「ベテラン議員の反対もそうだが、官僚など行政側も変化を求めない抵抗勢力になっている。しかし、一般企業でパソコンなどを使えないでは仕事にならない時代。地方議会でタブレット使用が認められるのはもう少し時間がかかるとは思うが、地方議会が変わっていけばいずれ国会にも影響は波及する」と指摘しています。 国会では安倍晋三首相が3月末の参院委員会で、「国会の議場内へのiPadなどのタブレット端末の持ち込み解禁も検討すべき」との考えを示したと伝えられ、議論が活発化も期待されます。一方で、クラウドを使うことで、ネット上に上がった重要書類の情報流出や悪用といった情報管理をどう強化していくかといった問題も出てきます。またタブレットを導入しても議員側から紙ベースの書類も同時に請求されれば、二重の手間になり、かえって効率が落ちるといったケースも否定できません。携帯機器をうまく活用できるかは政治課題の一つになりそうです。