“新生東海大福岡”が12年ぶりの決勝進出!! 前回王者・飯塚を劇的決勝弾で撃破!!:福岡
[11.4 選手権福岡県予選準決勝 東海大福岡高 2-1 飯塚高 博多の森陸上競技場] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 球際の勝負で競り負けない。どれだけ肉弾戦になっても身体をぶつけ、ユニフォームを汚しながらボールを死守する。泥臭く戦える集団となった東海大福岡高が躍動した。 4日、第103回全国高校サッカー選手権福岡県予選の準決勝が行われ、東海大福岡は前回王者の飯塚高と対戦。一度は同点に追い付かれたが、後半アディショナルタイムに勝ち越して決勝進出を決めた。 「今日も選手たちはサイドチェンジなどをしながら、攻撃を組み立てたかったと思う。でも、エラーが起こる可能性を考えて、止めた部分もあった」(東海大福岡・伊藤良太監督) 相手はパワーとスピードを兼ね備えた飯塚。簡単には自分たちのサッカーをやらせてくれない。大丸忠前監督から継承した攻撃的なスタイルで勝負する選択肢もあったが、今季からチームを預かっている伊藤監督は就任直後から選手たちに植え付けてきた勝負に徹するサッカーで戦うことを決断する。 立ち上がりからパワフルなサッカーを展開してきた飯塚を中盤で迎え撃ち、球際で激しいバトルを展開。肉弾戦で一歩も引かず、互角以上の戦いを見せた。すると、開始5分に左SB濱口幸生(2年)の右CKからFW倉田連(3年)が頭で押し込んで先制点を奪う。以降は決定機を作れなかったものの、ミドルゾーンの潰し合いに徹して主導権を掌握。強度の高いサッカーで相手に付け入る隙を与えなかった。 後半に入っても集中力は切れなかったが、半ば以降は押し込まれる展開に。プリンスリーグ九州2部でリーグ最少タイの18失点を記録している守備力が身体を張ったものの、自陣で耐える時間帯が続いた。「精神的なところ。守り切る自信があったと思うんです」(伊藤監督)。受け身になり、最終ラインが後退。最終盤までなんとか凌いでいたが、終了間際の36分にCKの流れからDF森本快(2年)に鮮やかなミドルシュートを叩き込まれてしまう。 同点に追い付かれ、流れは飯塚へ。このまま押し切られるかと思われたが、最後の最後にドラマが待っていた。40+2分、右サイドでロングスローを得ると、DF福田大翔(2年)がニアサイドにボールを放り込む。相手DFが競り切れず、ボールがこぼれると、途中出場のFW田中蒼大(2年)が豪快に右足で蹴り込んで勝負にケリをつけた。 インターハイ予選でも2-0で勝利していた相手に対し、勝負強さを発揮して再び勝利を掴んだ東海大福岡。今季は開幕前に監督が交代し、長年指揮をとった大丸前監督から伊藤監督にバトンタッチ。前任者が構築してきた攻撃的なサッカーに加え、勝負に徹するスタイルも新たに落とし込んできた。2015年以来の参戦となるプリンスリーグ九州では2部で優勝争いを展開。11月5日時点で2位に位置しており、1部への昇格も視界に捉えている。6月のインターハイ予選でも決勝に進出するなど、順調に力をつけてきたのは間違いない。 手応えを掴んできたなかで、さらに自信を深めるきっかけになったのが夏休み。地元福岡で開催された東海フェスティバルで22年度に高校サッカー選手権を制し、かつて東海大福岡で監督や総監督を務めた平清孝ゼネラルアドバイザーがいる岡山学芸館と対戦。撃ち合いの末に4-3の逆転勝利を収め、全国基準を知るだけではなく、上のステージで戦える確信を得た。 「強いチームに勝つためには球際の勝負で負けないことが大事。僕らは岡山学芸館さんに学ばせてもらった」(伊藤監督) そうした積み重ねが身を結び、選手権予選では12年ぶりとなる決勝進出を決めた。10日の相手は東福岡。長きに渡ってしのぎを削ってきたライバルとの戦いになる。最後に選手権予選決勝で“赤い彗星”と対峙したのは14年前。多くの時が流れたが、最高の舞台で最高のライバルと戦える喜びを感じながら、“新生東海大福岡”が12年ぶりの選手権出場を目指す戦いに挑む。 (取材・文 松尾祐希)