職人の技術に触れる 紬織元に海外5カ国から9人 奄美大島
九州の伝統工芸産地を巡る海外からのツアーの一行が11日、鹿児島県の奄美大島入りし、13日までの3日間、本場奄美大島紬の織元や関連施設などを巡った。12日は奄美市名瀬の「原絹織物仁左エ門工房」を訪問。代表取締役で伝統工芸士の原正仁さん(77)や工場長の松永和栄さん(76)から大島紬の歴史や製造工程について説明を受け、「機織り」や染料の「すり込み」に挑戦し、精密な伝統技術の一端に触れ親しんだ。 世界の織物の産地巡りを専門とする米国のツアー会社と、アートや工芸品を専門とする旅行会社「UNAラボラトリーズ」(福岡県)が企画。10日間で九州各地の織物の産地を巡るツアーの一環で、米、英、仏、豪、シンガポールから9人が訪れた。 原絹織物を訪れた参加者は二つのグループに分かれ、原さんが機織りを指導。松永さんは防染用の綿糸を染色後に部分的に取り除く「目破り」や染料の「すり込み」の工程を説明した。参加者は実際に糸に触れたり、すり込みを体験したりした。原さんや松永さんと生産や販路、海外展開などについても活発に意見を交わした。 シンガポールから参加したメイ・タンさんは「織物が好きで参加した。大島紬はとても複雑。多くの工程があり、すごい労力がかかっていることを学んだ。本当に特別で素晴らしいもの。奄美大島もすてきな場所でまた訪れたい」と話した。 原さんは「団体で決まった場所を回るツアーだけでなく、こうした形で実際に、職人と触れ合う時間が大切だと思う。職人が残っていることを世界にPRすることにもつながる。訪れた人を通して、奄美に行ってみようと思う人が増えてくれたら」と期待した。 一行は、同日、原絹織物のほか、龍郷町の奄美大島紬村を訪問。13日は同町の金井工芸で泥染めを体験し、奄美市笠利町の田中一村記念美術館も訪れた。
奄美の南海日日新聞