乳がんの母と娘が一緒にボディコンテストに挑戦「新しい母に出会った感じがして本当にうれしかった」
フィットネス・たまき&なのは インタビュー 後編(全2回) 【新しい母に出会った気がした】 【写真】乳がんの母と娘が一緒にボディコンテストに挑戦!大畑たまき・なのは親子フォトギャラリー 6年前に乳がんが発覚し、2年前に再発、骨盤に転移しステージ4だとわかった看護師の大畑たまきさん(51歳)。 がんをきっかけに「人生は楽しんだもん勝ち」との思いを強くし、ボディコンテスト「ベストボディ・ジャパン」の出場を決意。同時に、長女のなのはさん(23歳)に「いつかふたりでステージ上に立ちたい」と冗談交じりにそろっての出場を打診していた。 「がんが再発して骨盤に転移したと聞いた時は家族みんなが落ち込みました。でも、ふたりでステージに立てれば、思い出になるかなって」 こう振り返るなのはさん。現在、たまきさんと同じ看護師の職に就いている。同じ仕事を目指した理由について、「母の影響もあったけど、母の闘病中に担当の看護師さんに優しくしてもらって、私自身、すごく救われたんです」と話す。 2022年8月、母のたまきさんが宇都宮大会で先にコンテストデビュー。なのはさんも母の晴れの舞台へ妹とともに応援に駆けつけた。 「笑顔でステージに立つ母の姿を見て、新しい母に出会った感じがして本当にうれしかったんです。母はそれまで仕事と子育てに明け暮れていました。だから、初めて自分自身のことを楽しんでいるように見えたんです」
【ステージで深めた親子の絆】 ボディコンテストに不可欠のメイク。職業柄、これまでほとんどメイクをしたことがなかったというたまきさんに代わって、なのはさんと次女がメイクを施した。「仕上がりを見て、『これ、誰?』って自分で思いました(笑)」と笑うたまきさん。 なのはさんもこう続ける。 「高校生くらいでメイクを覚えた私は、いつもすっぴんの母を見て『こんなに楽しいのに、こんなに自分がキラキラできるのに、なんで化粧をしないんだろう』とずっと疑問に思っていました。でも時間もお金も私たちに使ってくれていたからできなかったんですね。 大会に出るようになって、母はいつの間にか目元がキラキラしたり、コスメを集めたりするようになった(笑)。今では母娘でメイクトークもしますよ」 それから何度もコンテストに出場するたまきさんだが、なのはさんも負けてない。 「ベストボディ・ジャパン」は4~11月までのシーズン中、各地方で毎週のように大会が開かれる。しかし、年齢別でカテゴリが分かれており、親子が並んでステージに立つには、東日本と西日本でそれぞれ年に一度開催されるジャンル別&職業別のミス・看護師部門に出場するしかない。もちろん、ここには看護師でないとエントリーできない。 当時看護学生だったなのはさんは、来たるべき日に備えてトレーニングしつつ、母と並んでステージに立つという目標を大きなモチベーションに変えて試験勉強に取り組み、みごと国家試験を突破。昨春よりひとり暮らしを始め、急性期病院の看護師として働いている。 「仕事がつらかったり、責任が重かったり、押しつぶされそうになるときもありますが、母はよく私に『仕事ができることってすごく幸せなことなんだよ』と言ってくれます。がんと闘っている母の言葉には重みがあるし、そういう言葉に私は日々救われています」 そして、なのはさんも2023年8月の水戸大会でコンテストデビュー。たまきさんとカテゴリーは違うものの、ともに入賞を果たした。 そして、同年10月の「ジャンル別&職業別 東日本大会」では念願のふたり並んでのステージングが実現。たまきさんは5位、なのはさんは3位を獲得した。