「トランプ氏の再選優勢」と言わざるを得ない次期米大統領選の現状
ロバート・ケネディ・ジュニア氏の存在はトランプ氏に不利なのか
飯田)以前、第3の候補的なところでロバート・ケネディ・ジュニア氏の名前を挙げておられましたが、ケネディと名前がついている通り、あの血筋ですよね? クラフト)専門家のなかでは「ロバート・ケネディ・ジュニア氏は民主党議員でありながら、かなり極右派の思想を持っているので、逆にトランプ氏の有権者を引っ張っていく」と言われています。そのため「トランプ氏に不利でバイデン大統領に有利」と言う人がいますが、そうではないと思います。 飯田)そうではない。 クラフト)もともとトランプ氏が好きな人は、民主党に乗り換える、それも独立候補に乗り換えることはまずありません。トランプ氏の支持者はトランプ氏維持で、バイデン大統領が嫌いな人が移るか、あるいは投票に出ない。あるいはケネディ候補に投票すると予想されるので、あまりトランプ氏にとって不利ではないと思います。
コロラド州最高裁が「トランプ氏に大統領選に挑む資格ない」と判決
クラフト)また20日には、コロラド州の最高裁がトランプ氏の予備選への出馬資格を剥奪しました。 飯田)出馬を認めない。 クラフト)これから連邦最高裁で争われますが、個人的にはコロラド州の判決は不当だと思っています。トランプ氏が出馬しないことを願ってはいるものの、判決として少しおかしいと思います。しかし、もし連邦最高裁もこれを容認して、他の州に広まって出馬できないとなると、一気にトランプ氏からニッキー・ヘイリー氏や、デサンティス氏などが出てくる可能性もあります。そもそもコロラド州の判決自体が1872年の法律に基づいているのです。しかも2021年の議事堂襲撃事件を引き起こしたと断定している。その裁判はまだ始まってもいないし、トランプ氏の有罪が決まっていないにもかかわらず、コロラド州は……。 飯田)先走ってしまっている。 クラフト)勝手に有罪だと主張しているのです。だから出馬資格がないというのは、おかしいと言わざるを得ません。最高裁は6対3で保守なので、トランプ氏に有利だと思います。いずれにしろ、コロラド州の予備選は3月5日の「スーパーチューズデー」ですので、その前に判決を決めないと大統領選にも影響が出てしまいます。 飯田)修正第14条3項に基づいて「反乱などに関わった者は公職に就くことを禁じる」という規定を引用した。 クラフト)「大統領」とは明記されていないので、果たして大統領がこれにあたるのか、そうではないのか。いろいろな議論がありますが、いずれにしろ法律的には面白い判決で、これから二転三転していくのではないかと思います。