農林中金、25年3月期の最終赤字が「2兆円規模」に膨らむ可能性…「もう一段踏み込んだ財務改善行う」
農林中央金庫が19日発表した2024年9月中間連結決算は、最終利益が8939億円の赤字(前年同期は1443億円の黒字)となった。多額の含み損を抱える外国債券の売却で損失が膨らんだ。25年3月期の最終赤字は1・5兆円規模を見込んでいたが、2兆円規模まで膨らむ可能性があるとの見方も示した。 【写真】農林中金の奥和登理事長(左)
都内で記者会見した奥和登理事長は「金融情勢は不透明感が強まり、場合によっては(米国の)金利が上昇することもある」との見方を示した。その上で「そうした事態に備え、もう一段踏み込んだ財務の改善を行いたい」と述べた。
市場では、米国のトランプ次期大統領による財政政策などでインフレ(物価上昇)が再燃し、米金利が上昇するとの見方もある。金利上昇は債券価格の下落につながり、保有外債の価値が目減りすることから、さらに売却を進める考えだ。
農林中金は年度内に米欧の国債を約10兆円売却して損失を処理する方針を示していたが、これを上回る規模で売却を行う構え。財務基盤の立て直しのため1・3兆円規模の資本増強も行う方針で、収益性が高い資産への入れ替えを進めている。