美容外科医・高須幹弥がボディビルに挑戦 「美容整形の患者さんに筋トレを勧めます」
突然のボディビル大会への出場で世間を驚かせた、全国区の美容整形外科・高須クリニックの名古屋院院長を勤める高須幹弥氏。トレーニングと美容外科という、全く異なるボディメイクの世界を股にかける高須氏の思いに迫る。 【写真】高須幹弥氏の鬼気迫るトレーニングと初ボディビル大会の様子
小学3年生からトレーニングに没頭 きっかけは映画スター
「僕の子ども時代にはブルース・リーやジャッキー・チェンがすごく流行っていて、僕もそれに熱中していました。『週刊少年ジャンプ』の広告に載っていた日武会に入会し、ヌンチャクやトンファーを買ってもらって、日々“修行”に明け暮れました。僕と同じ世代の男の子は皆やっていたと思いますよ。強い男になりたい。それがトレーニングのきっかけです」 プロレスではタイガーマスクが活躍し、アニメではキン肉マンが流行した時代。強い男への憧れを抱き育った高須氏は、中学時代には柔道の道へ進み、大学時代までを柔道部に捧げた。ウエイトトレーニングに興味を持ったのは、柔道の補強として触れたのが最初だという。 「高校のとき、学校でベンチプレスが流行ったんですよ。皆で集まって、3~4セットずつ限界まで挙げていくのを延々と繰り返すという遊びなんですけど、記録が上がることが楽しくて気づいたら100kgまで上がるようになっていました。」 医師の道に進むまでそういった“遊び”でのトレーニングは続いた。しかし、その後14年間はぱたりと筋トレから離れてしまったという。 「仕事が忙しすぎたのとゴルフにハマって、37歳になるまで一切筋トレしなくなりました。ある日、鏡に映った自分に愕然としたんですよ。だるんとしてお腹の出た中年体型になった自分がいました。体型のくずれが、そのまま男としての自分の自信喪失につながってしまいました。これではいけないと思い、コナミスポーツに入会しました」 徐々にかつての引き締まった身体を取り戻していくにつれ、自信も回復。改めて、見た目の自信は心の自信と密接に関わっていることを理解したと語る。
美容業界とフィットネス業界の間で
その後、高須氏は本業のかたわら、2013年にYouTube配信を始める。内容は美容のほか政治・経済・金融から世間を賑わすトレンドまで幅広く、現在の登録者数は68万人近い人気コンテンツとなった。 「そのなかの一つに趣味である筋トレを取り入れました。フィットネスが好きな方は美意識が高い方が多いので自分の仕事や発信との親和性もありますし、逆に美容に興味のある方はボディメイクにも興味があることが多いので、結構楽しんでもらえる話題です」 美容外科というボディメイクに携わっている上で、高須氏は顧客に対してある思いを抱えていた。 「美容業界では、痩身法といえば糖尿病治療薬のダイエットへの転用や脂肪吸引などがあります。もちろんそれを選択すること自体は悪いことではありません。ただ、例えば脂肪吸引は本来、“適正体重まで落とした上で、それでも取りきれない脂肪をデザインする”というのが施術の目的であったものが、今は一切痩せる努力をしないまま第一選択として選ばれる方が増えています。強度の肥満状態からの一挙の除脂肪は身体への負担が大きいため、適性体重までは難しくとも、ある程度の状態までは自力で落としていただいた上で行いたいという思いはあります」 「また、男性も若々しさや男性機能の向上のために男性ホルモンであるテストステロンを外部から補充する療法や、成長ホルモンを注入する療法を最初から採択する方が多いです。テストステロン補充療法は『FtMトランスジェンダー』(※Female to Male/男性の心と女性の身体を持つ方)に向けての療法であったのをアンチエイジングとして転用したものですが、これもリスクがあって、外部からの補充を繰り返していると精巣が萎縮して自己生成能力がさらに下がってしまう。なので僕は、意地でも自力でテストステロンを上げてやる(筋力トレーニングにはテストステロンの分泌を促す効果がある)という思いでも、筋トレに励んでいます」 こういった葛藤や実情を赤裸々に発信することも、高須氏のYouTubeの高い人気を支えている。