【静岡県知事選】リニア訴えに変化 岐阜・水位低下問題、候補者戦略に影響 26日投開票 後半戦突入
26日の投開票に向けて後半戦に突入した知事選で、各候補者が岐阜県瑞浪市の井戸などで水位が低下した問題を重視し、リニア中央新幹線工事に関する主張を強化したり、変化させたりして支持獲得を目指している。全国的な関心も集まる中で、終盤の戦いにどう影響するかが注目される。 JR東海は16日、瑞浪市での水位低下を受けてトンネル掘削工事を一時中断し、地質や地下水の状況を詳細に調査すると発表した。大井川の水資源確保と南アルプスの環境保全が本県の最重要課題になっているだけに、県内の有権者の懸念も高まっている。
共産党県委員長の森大介氏(55)=同党公認=は、水や生態系保全の観点からリニア建設の中止を一貫して主張してきた。岐阜県の問題が報道されて以降は「改めて工事の困難さが露呈した」と論調を強めている。18日はJR沼津駅北口などで街頭演説し「静岡県民にとっても決して人ごとではない。国が進めているからと思考停止してはいけない」と力説。リニアの考えを聞きに演説に来てくれる人もいるといい、「あと1週間、訴えを広げていきたい」と気合を入れた。
元浜松市長鈴木康友氏(66)=立憲民主党、国民民主党推薦=は、メリットを挙げてリニア整備推進を訴えてきたが、ここ数日は、水や環境の問題を取り上げてきた川勝平太前知事の功績を評価する発言が目立つように。16日には大井川流域の島田市で、水資源や生態系の問題を「ないがしろに進めていくことはない」と訴えた。18日も富士宮市での街頭演説で「川勝さんの意思を受け継いで課題にしっかり取り組み、乗り越えていく」と言葉に力を込めた。
元副知事の大村慎一氏(60)=自民党推薦=はリニア整備推進の立場から「1年以内に結果を出す」と課題解決の期限に言及してきたが、18日の掛川市での演説会では「1年以内でめどを立てるとしていたが、いったんストップする」と表明し、JRにしっかりとした説明を求める考えを示した。岐阜県の問題をJRが速やかに同県に連絡しなかったことを問題視し「全ては信頼関係が前提。連絡ができない会社とはお付き合いできない」と憤りをあらわにした。
政治団体「個人の尊厳党」代表横山正文氏(56)、アパート経営村上猛氏(73)、コンサルティング会社社長浜中都己氏(62)も立候補している。