日本はデジタルファッションの先進国となりうる:「DRAUP」創設者が語る、デジタルデザイナー育成の背景
Dani Loftusの見据えるデジタルファッションの未来
DRAUPを通して業界の発展に貢献しているDaniさんだが、デジタルファッション業界が今後どのように発展していくことを望んでいるのだろうか。 「これはとても素敵な質問で、私もよく考えることです。第一に、世界中からより多くのクリエイターがこの業界に入ってくることを望んでいます。 住んでいる場所や物質的な資源の問題で、伝統的なファッションの世界に入ることができなかったクリエイターたちが、デジタルファッションの領域でスキルを発揮し、成功を収めることができるようにしたいと思っています。 また、物理的なファッションよりも、さらに革新的な服を作る、デジタルならではのファッションも見てみたいです。具体的には、重力や素材のルールに合わせる必要のない服、着る人や見る人の感情を呼び起こす服です。 最後に、私たちの仕事と、デジタル媒体を昇華させるあらゆる方法を理解し、評価してくれるコミュニティがもっと広がってほしいと思っています。これはDRAUPのモットーであり、コードはクチュールになりうるということです。 クチュールメゾンに要求されるような高度な技術がデジタルファッションにも要求され、時には何百時間もの労力の産物であることを、ファッション消費者が理解できるような世界が実現すれば、私たちはこの分野を大きく前進させたと言えるでしょう」 DRAUPは、デジタルファッションをフィジカルな(物理的な)ファッションの代替ではなく、デジタルならではの可能性を広げていき、デジタルファッション自体の価値を高めていくといった思想を持っていて、他のデジタルファッションプロジェクトとは一線を画す。 「デジタルファッションで良い」ではなく「デジタルファッションが良い」となれば、今後デジタルファッション領域のニーズも高まっていくのではないだろうか。
日本はデジタルファッションの開花に最適な場所
前述の通り、Daniさんは日本との交流が深く、日本人アーティストとのコラボレーションも積極的に行っている。彼女はなぜ、日本に関心を持っているのか。 「私は日本のファッションの大ファンです。Junya Watanabe、Rei Kawakubo、Jun Takahashiなどのデザイナーから、常にインスピレーションを受けています。 4年前、私がデジタルファッションのキャリアをスタートさせたばかりで、まだメジャーなブランドがこの業界に参入していなかった頃から、私はすでに日本がデジタルファッションの開花に最適な場所だと考えていました。 アニミズムにまつわる日本の哲学、アイドル文化、マンガやビデオゲームの普及、そしてハイテクとファッションの両方において先進的な日本は、デジタルファッションの発展にとってもっとも有望な場所のひとつです。 すでに何人かのデジタルファッションデザイナーが素晴らしい仕事をしていて、たとえば、伝統的なオートクチュールの経験をデジタルファッションの世界に取り入れているKay Akiko、デジタル&フィジカル両方のデザイナーであるKanji Kyoda、そしてもちろん、DRAUPが東京都現代美術館で2024年3月まで開催しているショーケース「Neural Fad - AI Dreams Nostalgia」でコラボレーションした草野 絵美もそのひとりです」 DRAUPが2024年3月まで東京都現代美術館で開催されたショーケース「Neural Fad - AI Dreams Nostalgia」でコラボレーションした草野絵美もその一人だ。 このように、Daniさんは日本にデジタルファッション先進国としての可能性を感じていて、実現のためには、今後、日本でデジタルファッションに関わる人を増やしていくことが必要だ。 最後にDaniさんは、デジタルファッションに関心を持つ日本の読者に語った。 「私のニュースレター『This Outfit Does Not Exist』やインスタグラムは、デジタルファッションに興味を持っている人たちを掘り起こし、世界を変えようとしているクリエイターたちにスポットライトを当てることを目指しています。 また、私たちがレジデンシープログラムで教えた内容も、すべてオンラインで見ることができます。 デジタルファッションの作品を着ることに興味がある人がいたら、ぜひDRAUPをフォローしてコンタクトを取ってください。エキサイティングなプロジェクトがいくつか控えていますし、私たちの作品が日本のスタイルで着用されることにとても関心があります」 デジタルファッションの領域に足を踏み入れる第一歩として、DaniさんのニュースレターやDRAUPの動向を引き続きチェックするのはいかがだろうか。