日本はデジタルファッションの先進国となりうる:「DRAUP」創設者が語る、デジタルデザイナー育成の背景
デジタルファッションプラットフォーム「DRAUP(ドロップ)」をご存知だろうか? Dani Loftus(ダニ・ロフタス)という名の起業家が立ち上げたプロジェクトで、彼女のこれまでの輝かしいデジタルファッション業界でのキャリアも相まって、その言動に注目を集めている。 日本との交流も深く、AIアーティストでNFTプロジェクト「新星ギャルバース」の共同創設者でもある草野 絵美氏とのコラボレーションによるAR作品が、東京都現代美術館のショーケースの一部として展示されている。 2023年には、DRAUPとVERTICALの共同でデジタルファッションの教育プログラム「レジデンシープログラム」を立ち上げ、デジタルファッション領域でのデザイナーの育成にも力を入れている。デジタルファッションの未来に向けて活動を進める彼女は、何を見据えて行動しているのか。 今回は、DRAUPの創設者であるDani Loftusさんに、DRAUPの概要やレジデンシープログラム、業界の今後の展望について話を伺った。
DRAUPがデジタルデザイナーを育成する背景
DRAUPは「デジタルファッションプラットフォーム」として、デジタルファッションデザイナーのコレクションを販売することを目的として立ち上げられた。 一方で、デジタルファッション市場はまだ発展途上であるため、現時点ではDaniさん自ら、作品の製作を行って業界の発展に貢献している。 たとえば、最初のコレクションは、著名なデジタルアーティストであるNicolas Sassoon(ニコラス・サッスーン)とのコラボレーションで製作され、直近だとボクセル・アーティストのPatternbase(パターンベース)とのコラボレーションで、世界初のデジタル・シェイプウエア・コレクションを発表した。
このようにデジタルファッションの作品製作を進めているなか、なぜデジタルデザイナーの教育プログラムを開始したのか。 「私たちのプログラムの目的は、才能あるデジタルデザイナーにデジタルファッションの領域で成功するためのツールと機会を与えることで、彼らのキャリアをスタートさせることでした。 私は、ファッション業界の高い参入障壁が、新しいデザイナーの参入を妨げていて、デジタルファッションがこの問題を解決する道だと考えています。 目的を達成するために、幅広い分野をカバーする多種多様なクラス(30時間以上の授業)を提供しています」とDaniさんは語る。 DRAUPのレジデンシープログラムは、応募総数139名の中から11ヶ国25名のデジタルファッションデザイナーを選出し、デジタルファッション界のリーダーたちから8週間の集中トレーニングを受け、ロンドンで開催された展示会と最終作品のオークションで幕を閉じた。 DRAUP初の試みとなったレジデンシープログラム。終えてみて、DRAUPとしてはどのような学びがあったのか。 「このプログラムを必要としている人たちが、どれだけいるのかを知ることができたのは、私たちにとって大きな喜びでした。 プログラムが始まると、参加しているデザイナー間でコミュニティが形成され、その多くが現在も連絡を取り合い、コラボレーションを続けていることに深く感銘を受けました」 デジタルデザイナーとしてのスキルを学ぶだけでなく、同じ志を持った仲間と出会い、交流を深めることができたのは、今後のキャリアにとっても大きなプラスとなるだろう。