米KKRがアルプス物流を買収へ、TOBで全株式取得-関係者
(ブルームバーグ): 電機メーカーのアルプスアルパインが、保有するアルプス物流の全株式を米投資ファンド、KKR子会社のロジスティード(旧日立物流)に売却する方針を固めたことが8日、分かった。9日にも発表する。複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。
関係者によると、ロジスティードは株式公開買い付け(TOB)を通じ、アルプスアルパインが保有する約47%を含め全株の取得を目指す。アルプスアルパインは全保有株を応募せず、TOB成立後に全株を譲渡する見通し。アルプス物流の時価総額は約1220億円だが、一定のプレミアムが付く見込みとしている。
ブルームバーグの報道を受けてアルプス物流の株価は、前日比18%高の4000円まで急騰し、上場来高値を更新した。アルプスアルパインの株価も同5.7%高の1583円まで上昇した。
物流業界では、時間外労働規制によりトラック運転手が不足する「2024年問題」を受け、構造改革が急務となっている。企業の合併・買収(M&A)を通じて設備や営業拠点を補完・共有すれば、人手不足の解消に加え、業務効率化による収益性の改善も期待できる。
アルプスアルパインは8日夕、アルプス物流株について、「企業価値向上に向け、当該株式を含む保有資産の売却など資本の効率性改善に向けたさまざまな可能性を検討している」とした上で、「現時点で具体的に決定している事実はない」とのコメントを発表した。KKRの広報担当者はコメントを控えるとしている。
アルプス物流のウェブサイトによると、同社は1964年の創業。アルプス電気(現アルプスアルパイン)の子会社だった経緯から、現在も電子部品の保管・運送などに強みを持つ。
世界15カ国・地域に計約5800人の従業員を抱えており、23年3月期の売上高は1212億円、純利益は50億円だった。9日に24年3月期の決算を発表する予定。
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--取材協力:Manuel Baigorri.
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Hideki Suzuki, Takako Taniguchi