チャン・チェン×藤井道人監督、「手を組んで数倍の効果を生み出せた」 映画『青春18×2君へと続く道』インタビュー
台湾をはじめアジア各地で公開され大ヒットしている日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』(5月3日公開)。本作のエグゼクティブ・プロデューサー、チャン・チェンと監督・脚本を手がけた藤井道人が、国際共同製作の裏側を明かした。 【動画】スペシャルメイキング映像Part.1 チャン・チェンといえば、台湾・台北市で生まれ、1991年に台湾映画『■嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(※■=牛へんに古、エドワード・ヤン監督)の主役で映画デビュー。その後、『ブエノスアイレス』(1997年、ウォン・カーウァイ監督)、『グリーン・デスティニー』(2000年、アン・リー監督)、『レッド・クリフ Part I&Part II』(08年&09年、ジョン・ウー監督)、『DUNE/デューン 砂の惑星』(21年、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)など、世界を股にかけて活躍する俳優となった。今回、初めてエグゼクティブ・プロデューサーを務めた。 本作は、台湾で話題になった紀行エッセイ『青春18×2 日本慢車流浪記』(著:ジミー・ライ)を読んだチャン・チェンが、映画化を思い立ったことからはじまる。「私の親しい友人であり、プロデューサーのロジャー・ファンが映像化の権利を取得したのはもう10年ちかく前になります。この長い創作の過程において、最終的に最適な監督、多くの最適な俳優に出会うことができ、完成させることができました。脚本づくりから資金集めまで、映画がどうやって作られるのか、知らなかったことも多く、とても勉強になりました」とチャン・チェン。 藤井が監督を務めることになった経緯には、必然ともいうべき数奇な巡り合わせがあった。「祖父は台湾から日本に渡ってきた人でした。自分の居場所を見つけられずにいた20代の頃、自分のルーツの一つである台湾に私費留学したんです。自分も恐れずに海外に行って、異なる文化をミックスさせたものづくりをしたいと思って。そこで、本作にも出演してくれた北村豊晴さん(※)と出会い、さまざまな台湾の映画人を紹介していただきました。 北村さんのおかげでネットワークが広がり、大好きな映画『モンガに散る』(10年)を制作したプロダクションにも『台湾で映画を撮らせてほしい』と営業に行ったんです。その場にたまたまいたのがロジャー・ファンさんでした。その時は、何もなかったのですが、数年後、『新聞記者』(19年)の試写会を台湾で行ったら、ロジャーさんから連絡をいただいたんです。お会いして、そこで出たのが『青春18×2』の話でした」。 ※1997年に台湾に渡り、俳優・映画監督として活動。本作には主人公のジミーとアミが出会うカラオケ神戸の店主を演じている。 チャン・チェンは、「今回、私たち二人が手を組むことにより、数倍の効果を生み出せたと思います」と自信をのぞかせる。 「恋愛映画であり、ロード―ムービーでもある本作は、キャスティングが大事だと思っていました。シュー・グァンハンさんと清原果耶さんは非常に優秀な俳優です。そして、台湾パートにも、日本パートにも素晴らしい俳優たちが集まってくれました。今回、二人の黒木さん(黒木華と黒木瞳)が出演しているのは偶然であり、ご縁であると思います。 黒木瞳さんとは以前から親交があり、金馬奨(映画賞)で台湾にいらした時にお会いして直オファーしたんです。黒木瞳さんも藤井監督の作品が大好きだという事で、その場で監督に電話をして、出演(清原演じるアミの母親役)が決定しました。そして、台湾の大人気バンド・メイデイの名曲『ピーター&マリー』を挿入歌として使用することになり、主題歌はMr.Childrenが『記憶の旅人』を書き下ろしてくれました。このような座組を築けたのは、藤井監督の魅力のおかげだと思います」(チャン・チェン) 藤井監督も「ジミーが日本を旅する途中で最初に出会う人物、長野県松本の居酒屋の店主リュウは、ジミーとルーツが同じであることに意味がある役だったので、ジョセフ・チャンさんに演じていただけたのはとてもありがたかったです。ジョセフさんが出演された映画やドラマを見ていましたし、グァンハンも出ているドラマ『罪夢者』(2019年)もすごくよかった。ダメ元でオファーしてみたら、プロデューサーパワーで出てくれることになりました」。