3231万8000円の超贅沢過ぎる移動空間とは? 新時代のベントレー・ベンテイガEWBはハンドルを握っても極上だった!!!
ベントレーのSUV「ベンテイガ」に新しく追加されたロングホイールベース版に、今尾直樹が試乗した。超贅沢な移動手段の醍醐味を考える! 【写真を見る】新型ベンテイガEWBの豪華で快適すぎるリヤシートなどを徹底チェック!!!(23枚)
違和感ないデザイン
新型ベントレー・ベンテイガEWBは、すでに十分広いベンテイガの後席居住空間をさらに広くて快適にしたウルトララグジュアリーSUVである。ベントレーとしてはこれまでの旗艦、ミュルサンヌの後継として位置づけている。2020年をもって生産を終了したミュルザンヌは、20世紀を引きずる職人仕事の少量生産車で、それが大いなる魅力だった。伝統の6.75リッターV8を積んだ古典的なフロント・エンジン、後輪駆動の4ドアサルーンの後継がSUV。というところが現代で、時代はすっかり変わった。現行ベントレーの生産台数の3分の1強を占める中心モデル、ベンテイガのホイールベース拡大版に旗艦の役割を担わせるのは合理的で真っ当と考えるべきなのだ。 そのベンテイガEWBの発売を記念したアズール・ファースト・エディション、というのが試乗車である。価格は3231万8000円と、3000万円を超える。ベンテイガEWBにはより豪華なマリナーという、旗艦の旗艦ともいえる仕様があり、こちらは3898万4000円と、さらに値が張る。 もちろん機構的にはどちらの仕様もおなじだ。ホイールベースは2020年に登場した第2世代のベンテイガのそれを180mm延長し、2995mmから3175mmに。これに対して全長は5150mmから5305mmへと、155mmしか成長していない。あと25mmはどこへ消えたのか? これがベントレーのスタイリストたちのマジックかもしれない。彼らはBピラー以降の再デザインをよほど慎重におこなったのだ。リアのドアにしても、相応に長くなっているはずなのに、うまくまとまっている。EWBにありがちな胴長感もなければ、違和感もない。 まずは後席に乗ってその広さを確認する。両脚をのばせることに驚く。助手席を電動で前にスライドさせて、よりリラックスした姿勢をとることもできる。お尻のクッションにはたいへん厚みがある。パンパンにアンコが詰まっているので、お尻が浮く感すらある。体重が80kg以上あったほうがいいかもしれない。 運転してみると、もっとビックリする。全長×全幅×全高=5305×2222(含むミラー)×1739mm、ホイールベース3175mmという巨体なのに、速度が上がるほどに巨体感が消え失せる。走りはじめた直後は、厳かなる走行体……と、筆者も思った。着座位置が高くて見晴らしがよくて、静かで、ステアリングが重めで、重厚、という感じがした。普通に走っている限り、4.0リッターV8ツイン・ターボは最高出力550psを6000rpmで、最大トルク770Nmを2000~4500rpmで生み出す高性能ユニットの片鱗も見せず、8速ATの組み合わせもあって2000rpm以下でユルユルとまわっている。