なぜ台湾プロ野球は開幕できたのか?
台湾のプロ野球が新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の中で12日、無観客で開幕した。NPB、メジャーリーグの開幕メドが立たない中、世界に先駆けての開幕で、中信兄弟vs統一ライオンズの1試合が台中市の洲際棒球場で行われた。無観客試合だったがスタンドでは、台湾プロ野球名物で、日本でも人気のある美人のチアガールが応援を繰り広げた。昨季までソフトバンクに所属したミランダと、マリナーズ、レンジャーズなどでプレーしたフィアベンドの両先発の投手戦となった試合は、1-1のまま延長戦に突入。延長11回に阪神に4年間在籍していた鄭凱文が打たれて統一が4-1で4時間32分の熱戦を制した。 なぜ台湾プロ野球は開幕できたのか? 海外メディアも、台湾プロ野球の開幕を取り上げるニュースの中で、その点に注目した。一番の理由は、台湾政府が、日本よりも1か月も早く、先手、先手の新型コロナウイルス予防の国家的な対策を打ってきたため国として感染拡大を抑えていることにある。中国、韓国からの入国制限、学校の休校、国民への自粛要請などを早々と打ち出した。マスクの安定した供給も国が管理し、実名購入や「マスク在庫アプリ」を開発するなどして不安を打ち消し、経済支援も行うなど、万全の国家政策が功を奏して、新型コロナウイルスによる死者は10人に届かない。感染者数は減少傾向にあり、市中には、通常の生活が戻りつつある。 7000人を超える感染者を出し「緊急事態宣言」が発令されている日本や、世界最多の感染者を出し、ニューヨークなど一部の都市では医療崩壊さえ起こりつつあるアメリカとは、そもそもの情勢が違っている。 英国メディアの「インサイド・ゲーム」も「新型コロナウイルスの陽性反応が出た人数が300人以下(正確には400人以下)という低さが台湾のプロ野球を機能させた。これは、他の国々で真似できないことを意味しているかもしれない」と分析した。 また同メディアによるとプロ野球は、3月に予定されていた開幕の延期を早々と決定すると同時に「リーグはシーズンを通して移動を減らすことを保証するために日程を変更し、球場、ホテル、チーム施設での厳しい予防対策を施した」という。 検温、消毒などを徹底し、現在、選手及び関係者に感染者は出ておらず、もし感染者が出た場合、すぐリーグを中断する用意がある。