「本当にもっと早く来たかった」躍進NECの小川航基&佐野航大が“欧州挑戦1年目”で実感した収穫と課題。「僕の人生にとってなかなかの1年間でした」【現地発】
「自分にはそうしたタフさみたいなところがまだまだ足りないんだと思う」(小川)
今季の小川はほぼレギュラーとしてプレーしたが、その過程ではバス・ドストとの競争、負傷、体調不良、そして終盤にはシラ・ソウに2試合続けて先発の座を明け渡した。だからこそ、リーグ最終戦の対アルメレ・シティ戦でスタメンの座を取り返して今季リーグ戦11点目(昨冬コペンハーゲンに移籍したマットソンとともにチーム最多タイ)をマークしたのは価値があった。 「僕の未熟さゆえ、スタメンから外される展開になったと思う。自分にはそうしたタフさみたいなところがまだまだ足りないんだと思う。もっともっと自分はエネルギーを出してやらないといけなかったと、今振り返って思います。来年はそういう苦手なところも克服できるよう取り組んでいきたい」(小川) さらに彼は言う。 「今日はブロム(ナウティンク主将。DF)が声をかけながら統率していた。そういう鼓舞する選手が、もっといないといけない。僕がね、そういうところも担えたら」(小川) 小川は「欧州1年目で公式戦15ゴール。もうちょっとリーグ戦で点を取りたかった。最低限のことはやったという感覚ですが、もっともっとやらないといけなかった」と数字を振り返ってから続けた。 「ずっと欧州に行きたいと思っていました。こうして1シーズンを送ってみて幸福度が高かったというか、やっぱり刺激の多かった1年でした。外国人として生活するという環境の激変もありました。ここのサポーター、このスタジアム――点を決めたときの雰囲気、ミスしたときの雰囲気、勝ったときの雰囲気、負けたときの雰囲気、全部含めて刺激的で、僕の人生にとってなかなかの1年間でした。 (語気を強めて)ただ、本当にもっと早く来たかった。この1年を振り返ってみても、もっと早く来たかった。僕はもう27歳(8月8日が誕生日)になるんでね。航大(20歳)のことが羨ましい。ただ、過去にはもう戻れないので、ここから自分でできるとことをやっていきたい。サッカーを100%楽しめるこの環境と生活が本当に楽しかった。日本代表にも呼ばれたり、いろいろなことがあったシーズンでした。 少しだけ休んでから、来季の目標として『今シーズンをしっかり超えていく』ことを掲げてやっていきたいと思います」(小川) NECは今季のサプライズ。結果、内容はともに良く、ホッフェルト・スタディオンの観客席は毎試合1万2000人の観衆で膨れ上がった。そのなかで欧州1年目の侍ふたりが果たした役割は途轍もなく大きかった。 取材・文●中田 徹
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