電動キックスケーター、電動オートバイ…「自転車(二輪)戦国時代」に言及 栗村修「歩行者にとって危険の対象になってはいけない」
◆栗村修の学べる自転車ニュース「自転車(二輪)戦国時代」
野島:それではラスト、『栗村修の学べる自転車ニュース 2023年振り返り編』、3つ目のテーマはなんでしょうか? 栗村:“自転車(二輪)戦国時代”でお願いします。 野島:お~、これはなんでしょう。それでは解説をお願いします。 栗村:昨今、私は自転車通勤を始めたんですが、路上も歩道上も含めて、車輪が2つ付いているけれど自転車ではない乗り物が、特に都内でギャインギャインに走り回っています。これは2023年に始まったわけではないんですが、自転車普及という意味では少し考えていかなければいけないなと思いました。だいぶカオスな状態になってきていますよね。 自転車なのか、電動キックスケーターなのか、さらには電動オートバイなのか。自転車風なんですけど、法的には電動オートバイのようなものがノーヘル、ノーナンバーで歩道を走っていたり(完全に違法です)、乗り手の誤解も生まれていますので、この辺りは早急に取り締まらないといけないと思う2023年でございます! 野島:確かに“戦国時代”と言われてみればそうですね。 栗村:私は日本自転車普及協会に籍を置いておりますし、“自転車おじさん”を自称しておりますので、やはり自転車というものが乗りやすい乗り物、そして車に乗っている方や歩行者にとって危険の対象になってはいけないと思っております。 今は新しいカテゴリーの乗り物が出てきたような過渡期。それらを否定するわけではありませんが、僕自身、歩行者として歩道を歩いているときに怖い思いをすることが増えてきたと感じることが多かった1年でした。 野島:確かに新しいものが出てくると、そのルールが完全に周知されないまま普及してしまうこともありますよね。 栗村:そうですね。あとはやはり“電動”。電気の力によって走行できたり、アシストされることはいいことなんですけど、昔に比べて速度が歩道上でも上がっているんですよね。なので、事故が起きたときのケガも昔より大きくなっていますから、やはり交通整理が重要になってくる。これは非常に危機感を感じております。 野島:いわゆるシティサイクル、ママチャリもアシストのあるものとないものでは車重が全く違いますもんね。 栗村:歩道上を自転車が走るというのは日本独特の文化で、今までは歩行者の延長上に、いわゆるお買い物用自転車=ママチャリがあったんですけど、今の自転車の性能を考えるともはやそれは歩行者の延長ではなく車両の仲間ですね。そういう意味では、この2023年がひとつのターニングポイントなのかなと感じました。 野島:そういう意味でもヘルメットの努力義務化を進めてきたというのもあるんでしょうね。 栗村:そうですね。自転車は一足先にヘルメットの努力義務化がおこなわれましたが、一方でキックスケーターは高出力型かどうかなどでいろいろなルールがあります。しかし、乗り手の皆さんが法律を全然理解できていない。法律が非常に入り組んでいますからね。この辺りの周知も大事になってくると思っています。 野島:そういった法整備に関しても栗村さんの力をぜひ発揮していただいて。 栗村:微力なところはありますが、ここは真面目に取り組んでいかないといけないと思っております。 野島:というわけで、今回は2023年の振り返りトークをお届けしましたが、振り返りがあればこの先も……ということで、栗村さんには来週も引き続きお付き合いいただきたいと思います。 栗村:自転車通勤のことをしゃべり忘れましたので、ぜひお話をさせていただければと思います(笑)。 (TOKYO FM「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」2023年12月17日(日)放送より)