震災以降、移住先として急浮上した岡山県とは?(下)
こうした団体の主宰者の多くが「先輩移住者」であり、自らの経験を活かして後進の手助けを善意で行っているという。移住者支援団体『岡山盛り上げよう会』の発起人である佐藤正彦さんは、2012年の7月に横浜から移住。岡山を選んだのは、交通アクセスの良さと、生活のしやすさが魅力だったそうだ。「都会過ぎず、田舎すぎない街の規模がちょうど良い」と佐藤さんは語る。とはいえ、親戚や友人もいない中、手探りで始めた移住計画。中でも“住まい探し”は困難を極めた。自身が経験した苦労を教訓に、これから移住して来る人たちのために手助けをしたいとの考えから、支援団体の設立を計画。2013年1月の立ち上げから約1年半、現在ではコアメンバー7人ほどで運営しており、希望者に個別に物件を紹介している。 岡山県および岡山市が開催している説明会の特徴は、こうしたボランティアによる支援団体の充実にある。行政だけでなく、民間の住宅情報サービスや転職サービスの会社が一同に会し、移住を考えている参加者の一番の不安である就職先や住宅の確保などについて細かな相談ができるところだろう。まさに“かゆいところに手が届く”、支援内容の濃さが移住の準備を一気に加速させる要因となっていることは間違いないだろう。上編の冒頭のアンケート結果で上位にランクインした長野県、山梨県、福島県、千葉県は、いずれも自治体が支援センターを設け、移住相談や就職相談ができるセミナーを開催している。希望者にとって移住後の現実的なプランを描けることが、計画を実現させるための大きな後押しになっていると言えそうだ。