イランの高濃縮ウラン貯蔵量が増加、大統領選を来月に控え-IAEA
(ブルームバーグ): イランは濃縮度が核兵器級に近い高濃縮ウランの貯蔵量を増やしたと、国際原子力機関(IAEA)が四半期報告書で明らかにした。大統領選を来月に控えた同国の高濃縮ウラン貯蔵の増加は中東全体の緊張を高める恐れがある。
これはライシ大統領やアブドラヒアン外相らが死亡したヘリコプター事故の後では初めてのIAEAによる保障措置評価となった。
同報告書によれば、IAEA査察団は27日、イランの濃縮度60%のウラン貯蔵量が3カ月で17%増加したことを確認した。9ページから成る部外秘の同報告書は外交官の間で回覧され、ブルームバーグが確認した。現在の貯蔵水準はイランが核兵器製造を目指すとの政治的決断を下した場合、数発分の核弾頭に転用するのに十分な量となっている。
IAEAのグロッシ事務局長は報告書で、「この報告期間中に、核兵器製造の技術的能力や核ドクトリンを変更する可能性に関してイランが出したさらなる公式コメントにより、イランの保障措置に基づく申告の正確性と完全性への懸念は強まる一方だ」と述べた。
IAEAの査察団はイランの濃縮度60%のウラン貯蔵量が3カ月間で121.5キロから142キロに増加したと結論付けた。濃縮度20%の貯蔵量も712.2キロから751キロに増えた。
原題:Iran’s Near Bomb-Grade Uranium Stock Grows Ahead of Elections(抜粋)
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Jonathan Tirone