今国会初の衆院憲法審 会長交代でも温度差変わらず 結束維持の改憲勢力、距離置く立民
与野党は19日の衆院憲法審査会で、「今後の議論の進め方」をテーマに今国会初の本格審議を行った。自民党など改憲勢力が国会議員の任期延長を含む緊急事態条項新設を訴えたのに対し、党内や支持層に護憲派を抱える立憲民主党は慎重姿勢を崩さず、温度差が改めて浮き彫りとなった。改憲論議の停滞が懸念される中、新たに審査会長に就任した立民の枝野幸男氏への注文も相次いだ。 ■テーマ絞って集約を 「毎週の定例日の開催が定着し、丁寧な議論が積み重ねられてきている。テーマを絞って精力的に集約しなければいけない」。与党筆頭幹事の船田元氏(自民)は憲法審で、大規模自然災害などで選挙を行うことが難しいときの議員任期延長論に結論を出すべきだと訴えた。公明党や日本維新の会、国民民主党なども同様の見解を示した。 これに対し、野党筆頭幹事を務める武正公一氏(立民)は(改憲の賛否を決める)国民投票の公平性などを確保するための国民投票法改正が「最優先課題」と強調。衆院解散の制約などの議論充実を求めつつ、緊急事態条項に触れることはなかった。 立民の山花郁夫氏は緊急事態への対応に関して、現行憲法に定められている「参院の緊急集会」をめぐる参院憲法審の審議を重視すべきだとして、「衆院で先行して議論すべき課題とは考えていない」と述べた。 れいわ新選組と共産党は憲法改正に反対する立場を明らかにした。 ■最大公約数を探る 改憲勢力も国民投票法をめぐる課題は認識している。一方、立民が国民投票法の議論を必要以上に優先させ、改憲勢力が目指す改憲条文案づくりなどを阻もうとするのではないかとの疑念も根強い。 「年末年始の閉会中も議論を前に進めよう。党利党略で建設的な議論が不当にブロックされる事態を招かぬよう、責務を全うしていただくよう強く求める」 維新の馬場伸幸氏はこの日の憲法審で、枝野氏への要求を口にした。国民民主の浅野哲氏は「枝野会長のもとで(改憲条文案の)起草委員会設置などのネクストステップへ進む議論が行われることを強く望んでいる」と訴えた。 枝野氏は終了後、記者団に「憲法審の進め方についても党派間で大きな違いがある。最大公約数をしっかりと探っていきたい」と語った。「衆院選後も固い結束が確認できた」(自民重鎮)改憲勢力と出身政党とのはざまで、難しい運営を強いられそうだ。(内藤慎二、末崎慎太郎)