「風俗街の病院」に勤務する新人女医が明かす…“階級社会”の医学部で、学生たちが「スリルを求めて」やっていたこと
---------- 医師の卵たちが6年間を過ごす医学部。倍率も高ければ、学費も高い。狭き門をくぐり抜けた一部の人間のみが知る謎に包まれた世界だ。 【マンガ】山奥の駅で死にかけた19歳大学生が負った「ヤバすぎる」大ケガ 本記事では、日本の社会問題が凝縮された「風俗街の病院」での経験が話題になった女医が、自らの過去を振り返りながら、知られざる医学部の裏側を明かす。 持つ者と持たざる者。前者に占められた医療界の異様な実態が浮かび上がってくる。 ----------
医学部に「マグル」はほとんどいない
私は小中高と地方の公立校を出て、都内の医学部に入学した。 「東大生の親の6割が年収950万円以上」というデータが話題になったが、地方出身者からすると、やはり医学部も華々しい世界だった。 まず医学部では「親が医者」なのは当たり前で、教授や講師と話す時も、世間話は最初に「親御さんは医者?」が挨拶代わりになる。 これは就職先の病院を決める面接でも聞かれることだ。それを採用に影響させることは法的にグレーだと思うが、そもそも大学入学時からして、グレーな話などいくらでもある。 私の体感では、おそらく学生の半数近くが医者の子息だった。ハリー・ポッターになぞらえて、両親が共に医者という人を「純血」、片方が医者だと「半純血」、両方とも医者ではない人のことは「マグル」と呼ぶ文化まである。「マグル」は家系に医者がいない学生が、自虐的に苦笑いしながら使う単語だ。 しかし、「マグル」の学生も、平均的なサラリーマン家庭出身という人はほとんどいない。みな経営者や士業の家庭で、都心のタワマンが「実家」だった。 出身高校もほとんどがいわゆる「御三家」など、都内の名門私立高校が並ぶ。入学式の日、周りが何故か全員、初対面ではありえない打ち解け方で話していて困惑したものだ。蓋を開けてみれば元々彼らは中高の同級生だったか、SAPIXや鉄緑会などの有名塾で一度は顔を見知ったメンバーだったのだ。 私のように地方公立校から、塾にも行かずに来たという子は全く見当たらなかった。