パート先で、10月から「社会保険料」が天引きされると聞きました。収入は「月8万円」くらいに抑えているのですが、パートでも賞与が出るので、「106万円の壁」を超えてしまいそうで心配です…
社会保険適用となったら負担はどのくらい増える?
パート社員が社会保険適用になったら、どのくらい負担が増えるのでしょうか? 実際の例をもとに計算します。次の条件で、東京都の保険料額表を参考に計算した結果は図表1のとおりです。 ・45歳 パート勤務 ・給与月額8万8000円、賞与年間20万円(年収約125万円) ・標準報酬月額:6等級 10万4000円(10万1000円~10万7000円) 図表1
全国健康保険協会 東京支部 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表より筆者作成 所定内賃金が毎月8万8000円を超えると、毎月約1万5000円の社会保険料負担が発生します。これまで社会保険の扶養には年収130万円の上限がありましたが、月額8万8000円を超えて社会保険適用となった場合、「130万円の壁」を気にする必要はなくなります。
社会保険料を支払うとメリットもある
パート収入の中から毎月1万5000円の社会保険料を支払うのは重い負担ですが、社会保険に加入するメリットもあります。社会保険に加入するメリットは主に次の4つです。 ・老齢年金の充実 ・障害年金の充実 ・遺族年金の充実 ・健康保険の充実 社会保険に加入して、厚生年金保険料を支払うことにより将来受け取れる老齢年金額が増えます。前記の例で考えると、年収約125万円で10年働き続けた場合、将来受け取れる老齢年金は年額約6万8000円増えます。 また、厚生年金に加入していると、障害年金や遺族年金の保障が手厚くなります。万が一自身が障害状態になった場合、障害の程度により障害基礎年金に加えて障害厚生年金が受給できます。また、死亡した場合も、残された家族は遺族基礎年金に上乗せで遺族厚生年金を受け取れるのです。ただし、配偶者や子どもの年齢によって受け取れる金額は変わります。 さらに社会保険に加入することで、万一療養で働けなくなった場合に「傷病手当金」の支給対象となったり、産前産後休業時に「出産手当金」の支給を受けられたりします。いずれも給与の3分の2を目安に支給されるため、仕事を休んでいる間も収入がなくなる不安を軽減できます。