波紋続々。メイウェザー対那須川の懸念ルール問題で「3ラウンドの非公式ボクシングマッチ」と米報道
また前出のボクシング専門サイトの「ボクシングシーン」は「メイウェザー対那須川はペイ・パー・ビュー(PPV)の大興行にはならないだろう。いくつかの情報筋によると、この試合は米国でPPVの大興行のメインイベントとしては配信されないようだ」とも報道した。 メイウェザーの過去の試合は、全米の有料チャンネル(PPV)である「HBO」、「ショータイム」が放映。昨年8月の総合格闘技「UFC」元2階級王者、コナー・マクレガー(30、アイルランド)との試合は「ショータイム」で、日本円にして1万円弱の高額な視聴料でPPV放映されたにもかかわらず歴代2位となる430万件もの売り上げを記録してメイウェザーが、計300億円もの大金を稼ぐ原資となった。 PPVを成功させるためには、米国時間のプライムタイムに試合を行う必要があるが、榊原実行委員長は「日本ファーストで行う」と明言、米国時間に合わせてスケジュールを調整する考えがないことを明らかにしていた。 同記事は、「この戦いは米国東海岸時間で14時間、西海岸時間で17時間早い日本の東京に近い埼玉で月曜日の夜遅くに行われ、米国での月曜朝となる。ペイ・パー・ビューでのボクシングイベントでは、メイウェザーの近年の試合に設定された視聴料金であれば売り上げをあげることはできない」と続けた。 それでも「ショータイム」だけでなく、インターネットのストリームサービスである「ESPN+」、「DAZN」で全米放映の可能性があることが示唆された。 榊原実行委員長も「世界中に中継はする。北米での放映権契約も屈辱的な契約ではなく、メイウェザー側とシェアすることになっている」と説明していた。 またメイウェザーとの再戦を望んでいるUFC戦士のマクレガーが、この試合決定を受けて自身のインスタで「フロイド、サウナスーツでも着ているのか。東京は暑いのか? それともここから何か物語が生まれるのか? 一体何が起きているのか? (写真に写っている)隣の小さな奴は誰なんだ? ラッシュアワー5(ジャッキー・チェン主演の映画の題名)か何かなのか。クリス・タッカーとジャッキー・チェンかよ」と挑発的な投稿。 すぐさま那須川も、インスタを使い英文で「こんにちは、マクレガーさん。私の名前は那須川天心です。私はジャッキー・チェンではありません。私はあなたの敗北のかたきを取ることを約束しますので、私の戦いを見て下さい」と反撃したが、この“番外戦”についても米メディアはさっそく話題にした。 米国の「コンプレックス誌」は「那須川が、マクレガーの人種差別的なインスタの掲載に対して完璧な返答」との見出しを取って那須川の紳士的な対応を絶賛した。 記事は両者のインスタの内容を紹介した上で「とりわけマクレガーに冷静に返答したところなど、那須川はわずか20歳だとは思えない」と敬意と丁重さを込めたメッセージを高評価。「一方でマクレガーがメイウェザーに敗れたことを持ち出すことで、巧妙なジャブをこっそりと放った。那須川は、大晦日の対戦でメイウェザーを倒せないかもしれないが、この若者は、すでにスターの卵となっている」と、世界的にはまだ無名の日本のファイターに好意的な目を向けた。 ルール問題や試合のあり方に賛否はあるかもしれないが、プロの格闘イベントである限り、世界中のメディアを巻き込んだ時点で、もうこの世紀の一戦は成功なのかもしれない。