2024年7月の住宅ローン金利(フラット35、変動金利、10年固定)を予想! 金利の推移、今後の金利動向を確認しよう
市場金利の推移は?
2024年7月に利上げの可能性も 住宅ローンの変動金利は、市場の短期金利がベースとなっている。その短期金利を動かしているのが日銀の金融政策だ。 日銀は、3月19日の金融政策決定会合にて、マイナス金利政策を解除し、大規模な金融緩和政策を見直すことを決定した。短期金利については、無担保コールレート(オーバーナイト物)を指標としており、「▲0.1%」から、「0%~0.1%程度」へと目標金利を引き上げた。2007年以降、17年ぶりの利上げだ。 マイナス金利政策解除後も「現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」としていたが、6月14日の金融政策決定会合後の記者会見で、植田日銀総裁は「(7月までに)出てくる経済・物価情勢に関する情報次第で、短期金利(政策金利)を引き上げて金融緩和度合いを調整するということはあり得る」と発言。7月にも利上げの可能性があると指摘した。 日本の10年国債は、マイナス金利の解除が決定し、上昇中 次に、住宅ローンの固定金利のベースとなる、市場金利(10年国債)の動向を見ておこう。 まずは、米国の長期金利を見ておこう。米連邦準備理事会(FRB)は、インフレ対策のため、かねてより積極的な利上げを実施。だが、金利の引き上げ局面は終了し、現在は利下げのタイミングに注目が集まっている。 6月11日~12日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBは前回同様、政策金利を据え置きとした。インフレについては、想定より上振れしている状況を示したことから、市場の状態としても、利下げの時期はさらに遅くなると見られている。なお、24年内の利下げ回数は1回に下方修正された。 2024年6月21日現在の米国長期金利(10年国債利回り)は4.265%となっている。 一方で、日本の長期金利(10年国債)は上昇しつつある。 日銀は長年、金融緩和政策により低金利を維持してきたが、2024年3月19日の金融政策決定会合にて、10年国債金利の上限目標(1%)を撤廃。これまでと同程度の長期国債の買入れを継続する他、長期金利が急激に上昇する場合は機動的に買入れ額の増額などで対応するとしていた。 しかし、6月14日の金融政策決定会合で、今後1~2年程度の国債買い入れを減額し、保有している国債残高の縮小に手をつけることを発表。7月会合で具体策が示される予定だ。 これにより、長期金利は上昇すると考えられ、長期金利に連動する固定金利型の住宅ローン金利も今後さらに上昇すると予想される。 2024年6月21日現在の市場金利(10年国債利回り)は0.979%だ。なお、同年5月22日には、10年国債利回りが一時、1.0%超えとなっている。これは、2013年5月以来およそ11年ぶりとなるため、今後の動向に注視したい。 現状の住宅ローン金利については、変動金利以外は上昇基調にあるのは間違いないが、それでも過去10年で見ると、まだ低水準であることに変わりはないのが現状だ。
変動金利は変わらず史上最低水準、フラット35は引き下げと予想
以上のことから、2024年7月の住宅ローン金利は、 ・フラット35は、引き下げ ・変動金利は、やや引き上げ ・10年固定金利は、やや引き上げ という動きになりそうだ。 住宅ローンは銀行の収益の柱の1つとなっており、一定のボリュームを取りたいという銀行が多い。そのため、金融政策の引き締めが進みつつあるとはいえ、当面は急激な金利上昇の可能性は低いと思われる。
ダイヤモンド不動産研究所