オリックスが井上亮社長のトップ人事で「脱・宮内色」完成へ…シニアチェアマンの関与なし
【政官財スキャニング】#91 政界通(以下=政) オリックスの社長が14年ぶりに代わるが、同社を創業期から大きく育てた宮内義彦・シニアチェアマン(89)の意向が反映された人事なのか? 【写真】日本航空に初の女性トップ誕生、CA出身も初…課せられるのはズバリ「収益力アップ」 財界通(同=財) いや、井上亮社長・CEO(72)が主導した交代で、宮内氏の関与はないようだ。 官界通(同=官) ということは、井上氏はこれで、オリックス幹部に残っていた「宮内色」を一掃する、と言えるな。 政 どういうことだ? 官 いまの役員やグループ会社のトップには宮内氏が育てた人間がまだいるが、1月1日に新社長・COOになる高橋英丈専務(53)は井上氏が進めた再生エネルギー事業を軌道に乗せ、現在は環境エネルギー本部長を務めるなど井上氏の直系と言える。 財 そうだ。宮内氏につながる面々よりも若い高橋氏が社長になることで、「宮内色」が消えていくのは確実だ。 政 宮内氏といえば経済同友会の論客として永田町や霞が関でも一目置かれ、政府の規制改革会議の議長も務めた実力者。その影響をはねつけるとは、井上氏もそうとう剛腕だな。 財 それは間違いない。積極的な事業投資で、この14年間に株式の時価総額を4.5倍にしたし、純利益も今期は10倍になる見込みだ。 官 市場は、そういう実績を一番高く評価するからな。本人も記者会見で「社長の通信簿は業績と株価だ」と自信満々に言ったようだ。 財 まだ宮内氏が会長にいたとき、井上氏は買収したゴルフ場や人気温泉地のホテルや旅館を宮内氏の反対を押し切って売却した。冷徹に売りどきを見極める事業家だ。 政 それでCEOのまま実力会長として残るのか? 財 いや、以前から親しい人に「早く辞めたい」と言っていたそうだ。CEOで残るのは、大阪市に建設するカジノなど統合型リゾート施設(IR)で、協力相手の米国企業とのパイプを持つのが井上氏しかいないからで、IRを軌道に乗せるまではトップにいようとの判断だろう。 政 なるほど。でも、一つの世代交代が財界で進んだことは、間違いないな。 (構成=竜孝裕/ジャーナリスト)