超高校級ストライカー高岡伶颯の昔と今。名和田我空の存在も刺激に、いかにして道を切り拓いてきたのか【インタビュー前編】
1点取れても、もう1点。貪欲にゴールを求めた
入学直後からAチームでプレーした一方で、今までとは異なる環境で大きな壁に当たった。高岡は言う。 「中学校の頃、試合中はみんなにめちゃくちゃ言いまくっていた。ガーって言っていましたから。でも、逆に高校に入ってから(遠慮して)言えなくなってしまった。インターハイでもメンバーに入れず、俺は何ができるんだろうって考えさせられたんです」 高岡は多くのことを考えた。何ができるのか――。そこで思い出したのが、過去の自分だった。 「『あ、そうだ。俺、言えるやん』って。もっと要求して、チームを鼓舞しよう。それを考えたら中学の時の自分を思い出して、そこをもう1回蘇えらせた。でも、今度は言葉を選びながら、大人になろうという気持ちもあって、それがプラスに働いた」 周りに左右されない。言うべきことは言う。周りにも遠慮はしない。前を見て、ひたむきにボールを蹴り続けた男は瞬く間に勢いを取り戻し、その年の選手権にも1年生ながら出場。そして、翌年2月の九州新人サッカー大会で代表スタッフの目に留まると、翌月に初めて世代別代表に選出された。 U-17ワールドカップを目ざすU-16日本代表でアルジェリア遠征に参加すると、森山佳郎監督(現・仙台監督)の評価を得て代表に定着。6月のU-17アジアカップ(U-17ワールドカップのアジア最終予選)でもメンバーに入り、スーパーサブとしてスピードを活かしたプレーで切り札役を担った。 アジアの舞台で手応えを掴んだ一方で、課題も残した。それが決定力だ。ノックアウトステージ進出が決まって迎えたインドとのグループステージ最終戦は8-4で勝利したものの、先発出場しながら無得点。続く準々決勝のオーストラリア戦(3-1)ではチームの3点目を奪い、本大会出場に貢献したが、結局このゴールが大会唯一の得点となった。 そこからゴールへのこだわりを見直した。1点取れても、もう1点。常に満足せず、貪欲に上だけを見て走ってきた。家に帰っても父から「今日のお前なら3点じゃダメでしょ」と言われ、どれだけ結果を残しても天狗にならずに向上心を持ってプレーしてきた。 その成果が出る。同年11月のU-17ワールドカップで一気に耳目を集めた(後編に続く)。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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