<ラグビー>世界選抜戦で占うW杯での日本代表の対応力
ラグビー日本代表は、8月15日、東京・秩父宮ラグビー場で世界選抜と激突する。9月からイングランドでおこなわれる4年に1度のワールドカップ(W杯)に向けた、貴重な強化試合だ。 世界選抜は豪華布陣。南半球の強豪国から多士済々のメンバーが揃った。今回の指揮を執るロビー・ディーンズヘッドコーチ(HC)は、メンバー編成に際してジャパンのエディー・ジョーンズHCの要望を聞いていたという。 「電話で話しました。W杯に向けて、身体をしっかりぶつけ合いたい、と。その望みを叶えるのに、いいメンバーが揃ったと思います」 ニュージーランド代表45キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)のカール・ハイマンは、右プロップとしては破格の身長194センチ、体重120キロという巨躯である。 球を回すバックスの中核は、オーストラリア代表51キャップのスタンドオフ、べリック・バーンズ。パナソニックの一員として日本最高峰トップリーグで2季連続MVPの好漢が、高度な情報処理と正確なパスとキックの技術でゲームを動かす。 さらにロックには、身長202センチの2人が並ぶ。ニュージーランド代表77キャップのアリ・ウィリアムズと、南アフリカ代表85キャップのバッキース・ボタだ。 日本代表は、9月19日のW杯初戦で南アフリカ代表とぶつかる。母国の対戦国であるジャパンを前に、ボタは「覚悟を持って試合をしようと思っています」と語った。 「プレーを通して、『ジャパンはどれだけ準備ができているの?』という質問を彼らにしていきたいです」 これらキャリア豊富なベテランと並んで、W杯出場切符を狙う選手がいるのも今度の世界選抜の特徴だ。キックが正確なセンターのクリスチャン・リアリーファノ(16キャップ)ら4名がオーストラリア代表スコッド(候補)入りしている。 かつて同国代表を率いたことのあるディーンズHCは、現代表のマイケル・チェイカHCとも情報交換。選手を前にしたミーティングでは、「ベテランは、候補選手のW杯出場を助けるべし」との意思統一を図っている。同じくオーストラリア代表候補のウイング、ニック・カミンズは、こう証言している。 「ベテランの選手たちも、私たちのチャンスをつぶすことはあってはならないと言っている。彼らはW杯の素晴らしさを知っていて、それを経験すると思ってくれています」 混成チームのツアーはディナーでの交流に重きが置かれがちだが、午前中のチーム練習も日増しに活気づいてきている。酷暑のなかの12日の初練習とは違って、やや涼しかった13日の練習では声も出ており、動きがやや機敏になっていた印象だ(トレーニングは非公開とされていたが、草葉の陰からファンが見守っていた)。 ディーンズHCは笑う。 「フィールド外でのコミュニケーションが、フィールド内でのコミュニケーションに生きてきていると思います。お互いが繋がり合ってきている。例えばバッキース・ボタのような選手とプレーすることは、若い選手にとって栄誉なこと。ただ、彼らと同じホテルで過ごして『そんなすごい選手でもただの人なのだ』と感じることで、いい雰囲気が醸成されてきている。練習の質が良くなったという感想を聞いて、勇気づけられました。当日、どうなるか。それはあなた(記者)の責任で評価してください」