空き家・空き店舗で起業を 和歌山県みなべ町が新たな支援
和歌山県みなべ町は本年度から、町内の空き家や空き店舗での起業を促す新たな支援を始めた。既に、空き家に移住や定住を促す複数の制度に取り組んでおり、町政策推進課は「支援をさらに充実させることで、空き家・空き店舗の解消や町内に人を増やすことにつなげ、地域の活性化を図りたい」と話している。 【暖冬に強い南高梅を 研究協議会が優良樹選抜、和歌山の記事はこちら】 新たな支援は、県の「わかやま空き家バンク」に登録された物件か、みなべ町商工会が空き店舗として認定した物件が対象。起業する人に助成金を、起業に至った空き家や空き店舗を売ったり貸したりした人に奨励金を出すもので、町の独自施策。 起業する人への助成は、年度内に起業を予定している人で、町内に住民登録か、法人の場合は事業所の登録をしている▽週4日以上営業する▽空き家・空き店舗の所有者と売買契約や賃貸借契約を結んでいる▽物件所有者が3親等以内の親族でない▽町商工会や、観光産業の場合はみなべ観光協会への会員登録をしていること―などの要件を満たす人が対象。助成金は30万円。移住者だけでなく、町民でも利用できる。 空き家・空き店舗の提供者への奨励は、空き家・空き店舗で起業する人と売買契約や賃貸借契約を結んでいる▽契約の当事者が3親等以内の親族でないこと―などの要件がある。奨励金は10万円。 町内では空き家が増加傾向にある。町の調査によると、2016年度は333戸だったが、22年度には403戸に増えた。 空き家は放置すれば劣化が進み、倒壊による事故や犯罪につながる危険がある。移住希望者に住める空き家を紹介したり、空き家・空き店舗での起業を促すことで、空き家・空き店舗の利活用を進め、こうした問題の解消や、地域の活性化につなげることが狙い。 町は19年度から、わかやま空き家バンクを通じて情報発信をするようになった。空き家の新規登録件数は、23年度は10件で、19年度以降で最多となった。また、23年度は5件で賃貸契約が成立した。今月9日時点の登録件数は6件となっている。 町では空き家に関する複数の補助事業に取り組んでいる。 わかやま空き家バンクを利用して町外から移住した人に30万円の助成金、バンクに登録した物件の売買や賃貸借契約が成立した人に10万円の奨励金を出す支援制度は、23年度から始めた。23年度の申請件数は、移住者への助成金が4件、空き家の売買や賃貸借が成約した人への奨励金は6件だった。 このほか、県の支援事業を補う形で、空き家に移住する際の改修や家財の片付けへの支援もしている。 補助事業などの詳細は、町政策推進課(0739・72・2142)へ。
紀伊民報