涙の敗戦から3日…石川遼、逆転賞金王へ勝利が絶対条件「準備したことをやり続ける」6人での争いに静かに闘志【日本シリーズJT杯】
国内男子ゴルフの今季最終戦、日本シリーズJT杯(賞金総額1億3000万円、優勝4000万円)開幕前日の27日、会場となる東京都稲城市の東京よみうりCC(7002ヤード、パー70)で、石川遼(33)=カシオ=が取材に応じた。現在賞金ランク6位で、優勝すれば14季ぶり2度目の賞金王可能性を残している。大会は今季優勝者や賞金ランク上位者ら30人が出場し、4日間予選カットなしで争う。 涙の敗戦から3日。石川は元気を取り戻していた。「落ち込んでショックだったと言うより、自分への悔しさ。自分の中での闘いだった」。前週のカシオワールドオープン(高知)では、最終日を1打差3位で開始したが、3日目までボギーなしのプレーから一転、4ボギーをたたいて4位に終わり、「自分に負けた」と、悔し涙にくれた。 こうして迎えた今季最終戦は、14季ぶり2度目の賞金王への最後の闘い。石川の置かれた状況は、前週の失速で、より厳しくなった。ランク1位の平田と石川の差は2648万円。優勝賞金4000万円を加算すれば逆転できるが、2位だと1500万円なので届かない。勝利が絶対条件だ。また、最下位の30位の選手にも賞金が配分され、4日間ホールアウトした全選手が賞金額を積み上げる。 石川自身も「間に合ってなかったな、という気がする」と言う。その一方で「でも、変な邪念や雑念が入ることなくできる。6人で争うのも珍しいこと」と、逆境を楽しんでもいる。開催コースは特にグリーン周りが難しく、経験が大きな武器になる。2015年と19年の2度制している石川にとっては、有利な材料だ。 「ガンガン行こうとか、出たとこ勝負ではなく、準備したことをやり続ける」。静かな口調にどこか、自信ものぞかせた。 ◆賞金王争い 可能性があるのは、1位から順に平田憲聖(エレコム)、金谷拓実(ヨギボー)、今平周吾(ロピア)、岩田寛、木下稜介(ハートランド)、石川の6人。平田と金谷の差は、わずかに288万円。過去に賞金王になったのは、今平(2018、19年)と石川(09年)だけ。 6人が最終戦までもつれ込んだのは、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の主管態勢になった1999年以降で初めて。最終戦まで持ち越されたのは、3年ぶり。最終戦で逆転賞金王になったのは、2000年片山晋呉、17年宮里優作しかなく、いずれもランク2位からだった。
中日スポーツ