甲子園100年(8月7日)
入道雲に吸い込まれる金属音。そびえ立つアルプススタンドにこだまする歓声とため息―。夏の全国高校野球選手権大会はきょう7日、開場100周年を迎えた阪神甲子園球場で開幕する▼忘れ得ぬ延長戦の死闘がある。1969(昭和44)年の三沢(青森)と松山商(愛媛)の決勝戦。延長18回で無得点の引き分け。再試合で三沢は涙をのむ。深紅の大優勝旗はするりと逃げ、東北の人々は肩を落とした。10年後の3回戦。延長18回、箕島(和歌山)は驚異の粘りで星稜(石川)を下す。若者の不屈の闘志は大人たちをも奮い立たせた▼高校野球の試合の在り方が大きく見直され始めた。暑さ対策として「7イニング制」の導入が浮上している。試合時間の短縮が投手の肩や肘を守る対策にもなるという。攻守が2回分減るだけで、戦術は様変わりする。延長にも制限は設けられるのか。まず何よりも、時代の変化に合わせ、球児の健康を第一に議論を進めてと切に願う▼今大会5日目の11日、福島県代表の聖光学院が登場する。何事にも屈しない強い気持ちと忍耐こそ、福島県球児の持ち味だ。一世紀を迎えた「聖地」に、ぜひ「ふくしま」の名を刻む戦いを。<2024・8・7>