バレー髙橋藍が語る「学業との両立」 世界トップリーグで活躍しながら、大学を卒業
しんどい時期に妥協するかしないか。そこで人生は変わる
――高校生や受験生の中には、行きたい大学や勉強したいことがあっても、夢と自分の実力とのギャップに悩む人も多いようです。アドバイスはありますか。 「困難な状況をどう乗り越えるか」という課題とは、僕自身もずっと向き合ってきました。大切なのは、目標に向けてまっすぐ進んでいく気持ち。もちろん、目標達成までは楽しいことよりしんどいことのほうが多いですが、しんどい時期を乗り越えると人は成長するし、そこで妥協するかしないかで、人生が変わると思います。つらい状況こそ、成長できるチャンス。だから壁に当たったときこそ、しんどい状況も楽しみながら、少しずつ進んでいってほしいです。 ――しんどい状況を楽しむコツはありますか。 小さくてもいいので、成功体験を持つことだと思います。僕もイタリアに来たばかりのころは、うまくいかないこともありました。でも、それまでの経験の中で、しんどい時期を乗り越えた先には、試合で活躍できる自分がいるとわかっていたから、気持ちを前向きに保てました。 困難を乗り越えて成長する体験を一度すれば、困難の先にいる成長した自分の姿を想像することができるようになります。自分の夢のためにする努力は、すべて自分のためになる。全力で取り組めばマイナスになることはありません。 ――パリオリンピックも控えていますが、今後の目標を聞かせてください。 パリオリンピックの目標は、メダル獲得です。その先の目標は、バレーボールをいま以上に「夢のあるスポーツ」にすることですね。そのために何をすべきか、パリオリンピックが終わったら少しずつ考えていきます。選手としてさらに強くなり、その上でいろいろなことに挑戦して、バレーボールの面白さを伝えられるようになりたいです。
プロフィール
髙橋 藍(たかはし・らん)/2001年、京都府生まれ。ポジションは、アウトサイドヒッター。兄の影響で、小学校2年生からバレーボールを始める。私立東山高校3年時に、国体(京都選抜)、全日本高校選手権(春高バレー)の2冠を達成。20年に日本体育大学に入学。21年には日本代表として東京オリンピックに出場、29年ぶりのベスト8進出に貢献した。2年時にイタリア・セリエAのパドヴァと契約し、イタリアへ。23年からはミラノ近郊の都市、モンツァを本拠地とするセリエA のヴェロ・バレー・モンツァに所属。身長188cm。好きな漫画は「ワンピース」。
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