ロマンス・投資詐欺「40~60代」被害“激増”… 警察も手を焼く悪組織「トクリュウ」“感情のジェットコースター”手口とは
“オレオレ”から「SNS型投資詐欺」「ロマンス詐欺」にシフトしている可能性
警察庁によると、令和5年1月から12月の認知件数と被害額は、「SNS型投資詐欺」2271件、約277.9億円、「ロマンス詐欺」1575件、約177.3億円。合計被害額は約455.2億円となり、特殊詐欺被害額の約441.2億円を凌駕している(特殊詐欺とは、オレオレ、預貯金、詐欺盗、架空料金請求、還付金詐欺など)。 「SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺ともに昨年(編注:2023年)下半期の増加が顕著。1件当たりの平均被害額は1000万円超。被害者の年齢層は、男性が50歳代から60歳代、女性は40歳代から50歳代が多い。SNS型投資詐欺はもちろんロマンス詐欺の多くでも、投資が詐取の名目となっている」という(警察庁 捜査第二課、組織犯罪対策第二課「広報資料」)。 オレオレ詐欺の高齢被害者とは異なり、一般的に考えてだまされづらそうな年齢の方が被害に遭っていることは嘆かわしい。メディア報道に耳を傾け、詐欺犯罪を人ごとと捉えず日々警戒するとともに、トクリュウの犯罪は変幻自在であることを肝に銘じ、「面識ない他人にお金を預けない」ことを徹底してほしい。 余談だが、昔のエロチャット同様、スマホの向こうにいるのは「女性のフリをした男性」であろう。中高年男性諸氏は、見知らぬ「男性」に恋心をもてあそばれないよう、気を付けていただきたいものだ。
廣末 登 1970年、福岡市生まれ。社会学者、博士(学術)。専門は犯罪社会学。龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員、法務省・保護司。2008年北九州市立大学大学大学院社会システム研究科博士後期課程修了。著書に『ヤクザになる理由』『だからヤクザを辞められない』(ともに新潮新書)、『ヤクザと介護』『テキヤの掟』(ともに新潮新書)、『ヤクザと介護』『テキヤの掟』(ともに角川新書)等がある。
廣末 登