【全日本大学駅伝】駒澤大が「意地の2位」で証明した底力 山川の爆走に篠原の気迫は箱根駅伝への自信に
【インパクトある2位は箱根への自信に】 こう話す藤田監督は箱根駅伝に向け、大きな収穫のある大会になったという。 「今年は去年のように最初から3冠を狙える力があるチームとは私も言ってなかったし、『1個ずつだよ』と選手たちにも言ってきました。それで出雲では桑田や島子、今回は谷中や村上、安原という三大駅伝を初めて走った選手たちがしっかりと区間上位でまとめることができた。それでまた選手層が厚くなったので、箱根に向けては見通しが少し明るくなったところがあります。 もっとも、今度(箱根)は10人揃える、16人揃えるとなったときにはやっぱり國學院や青学は圧倒的な選手層を持っているので、そこと戦うためにはどうしなければいけないか。となると限られた選手を故障や体調不良がなく、つくり込んでいかなければいけない。 ただ、私が思っているのは、どんなに選手層が厚くても箱根は10人しか走れないということ。その10人を揃えることができれば私たちも戦えるという自信は今回で間違いなくついたので、これは面白くなってきたなと思います」 箱根を睨めば特殊区間の山(5区と6区)には経験者もいて、出雲と全日本を故障で回避したスピードランナーの佐藤圭汰(3年)も戻ってくることを想定すれば、強みが増してくる。藤田監督は、今回の篠原と山川の快走で箱根の区間配置に悩みも出てきたという。 「今日の山川の走りを見たら、やっぱり箱根では2区をやらせたいですよね。でも強さを見せた篠原もエースとして2区をやりたいはずだから、そこはちょっと悩みますね。それに今回は(前回の箱根3区で爆走した)青学の太田くんに篠原が先着しているわけだから、3区でそのふたりの対決になったら観ている人たちは喜ぶし、楽しいだろうなと思いますね」 贅沢な悩みを口にするほどの篠原、山川の快走だったが、藤田監督はすぐに表情を引き締めて、「ただ、前回の箱根では主力を1区から並べて負けたので、ちょっといろいろ勉強しなければいけない部分はあります」と来る箱根に想いを巡らせたが、その心の内には、勢いに乗る國學院大と総合力の高い青学大に、十分対抗できるという自負も感じる。 篠原は箱根までの間、11月末の八王子ロングディスタンスの10000mで日本学生記録を狙う予定だという。「そうなれば5000mと10000m、ハーフマラソンと学生記録が揃うので、それをやって(学生生活を)終わりたい」と意欲を見せる。また、山川は「夏は故障していて1次合宿ができず練習の走り込みができていないので、このあと記録会には出ず練習を積み上げていく」と話す。 今回のインパクトのある2位で王座奪還を目指す駒大が、どんな布陣で箱根駅伝に臨むのか。楽しみになってきた。
折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi