元つばきファクトリー 岸本ゆめの、ソロ活動の指針「自分が感じてきた負の感情も歌にしたい」
とにかく歌を届けていきたい
──岸本さんとしても、新たに12曲を覚えて披露することはなかなかないですよね。 岸本 これまで多くても5、6曲だったし、初めてのことですね。でも私はメロディーとリズムと歌詞を覚えて、そこからどうしていくかを考えるくらいで、楽な方ですよ。バンドのみなさんは曲を覚えた上で楽器の演奏をするからすごいなと思います。 ──岸本さん自身もギターを披露されるんですよね? 岸本 プロの方々と並ぶので緊張しますね。ただ、ギターは「教えてください!」という気持ちなんですけど、歌もやられているドラムのUさんや浪漫革命の(大池)奏太さんとふじぴー(藤本卓馬)さんに、ボーカルとしては負けたくない気持ちはあります。みなさん大先輩ですけど、私のライブのなのでしっかり自信を持って、気合としては引っ張っていけるようにしたいなと思っています。 ──今回の「イチ、ミマン」というタイトルは岸本さんが決めたんですか? 岸本 そうですね。まだちょっと実験的な雰囲気もあるし、カバーもあってフルライブではない曲数で、「1stライブではあるけど、1より手前な感じかな」みたいな話を山田さんとして。そこから「位置について、よーいどん」の“位置について”を英語にしたり、1未満なんで大なり小なりの記号を使ったりとかも考えたんですけど、最終的に「イチ、ミマン」に決まりました。 ──今回お話を聞いて、どんなライブになるのかがさらに楽しみになりました。 岸本 これはSNSとかでも言っているんですけど、このライブに自信を持てている一番の要因は曲が本当に素敵だからなんです。すでに出した曲もすごくいいですし、浪漫革命さんに書いていただいた曲があったり、他にも嬉しいなと思う方が作ってくださった曲があったりして、全曲本当に好きだなと思うんですよ。その曲のよさをどれだけ私が伝えられるかというところはあるんですけど、自信があります! ……曲がいいというところは、自分の手柄じゃないんですけど(笑)。 ──今後の活動について、考えていることはありますか? 岸本 まずこれは前から変わらないことなんですけど、とにかく歌を届けていきたいなと思っているので、ライブもいっぱいやっていきたいですし、曲もどんどん出していきたいなと思っています。そしてみんなそれぞれに人生があると思うんですけど、私はお仕事を休んでしまったことや自分がどうやって育ってきたか、どういう感情でここまで生きてきたかを振り返ると、結構負の感情も多かったなと思っていて。 そうやって自分が感じてきたものを自分にしか出せない歌として届けられると考えているので、歌を通していろんな人に出会ったり、いろんな人の人生にちょっとでも登場できたりしたらなと思っています。 ──岸本さんはいつも明るく笑顔でいらっしゃるので、負の感情が多いというのは意外です。 岸本 それは環境がちょっと悲しいときこそ元気に生きている母の存在が大きいかもしれません。傍から見たら自由度は低い生活だとしても、その中でどう楽しく生きていくかを考えるのが上手い人なので、母のおかげで負の感情は多くとも明るい人間に育ったなとは思いますね。 ──岸本さんは実際辛いときはどう考えるんですか? 岸本 辛いときは……今は寝かせています(笑)。そこは母にまだまだ追いつけていない部分です。どうしようもないときは抜け殻みたいになったりもするんですけど、それで沈みきることはないようにと思っていますね。でも人間なんてみんな弱いと思うし、そういう人に共感してもらえるような音楽を発信できたらいいなと思っています。 (取材・文/東海林その子)
東海林 その子