「新プロジェクトX」“日常に革命を起こした”電動アシスト自転車の開発秘話に迫る!
NHK総合で10月19日放送のドキュメンタリー「新プロジェクトX ~挑戦者たち~」(土曜午後10:00)では、日本が生んだ世界初の乗り物の開発秘話「革命の自転車つなげ、感動のバトン~世界初 電動アシスト自転車」を送る。
バブル崩壊以降の「失われた時代」を主戦場に、ひたむきに困難に立ち向かった人々のドラマを描く「新プロジェクトX~挑戦者たち~」。ペダルをこぐとモーターが作動する「電動アシスト自転車」は、力を補ってくれるため、坂道もスイスイ進むことができる。子育て世代やお年寄りの強い味方として幅広く支持され、一般の自転車の販売台数を上回るまで浸透。「日常に革命を起こした」と言われる。だがこの世界初の乗り物が誕生するまでにはさまざまな困難があった。
1980年代。ヤマハ発動機は、同じく静岡県を発祥とするライバル・本田技研工業とオートバイ市場で熾烈(しれつ)な闘いを広げていたが、敗北。巻き返しを図る中で、新たな事業を生み出す「事業開発室」を立ち上げた。室長に任命されたのが、藤田武男。笑顔を滅多に見せない実直な男だった。 そのもとで、あるアイデアを出してきたのが、「変わり者だが天才」と言われていた菅野信之。それは、モーターがアシストしてくれる自転車だった。当時のフィットネスブームの中、室内でただサイクルマシンをこぐのではなく、風を感じながら地域を巡れたら楽しいのではないか、と考えた。だが藤田はすでに似た乗り物、「原動機付き自転車」がホンダから発売されていたことを知っていた。
しかし、このアイデアに違う反応を見せたのが、専務であり、事業開発本部長を務めていた長谷川武彦だった。「これは、風の強い中、買い物に行く人が坂を登ったりする時、きっと役に立つ」。花形のレース部門でエンジニアをしていた小山裕之を中心に開発が進められることになるが、待っていたのは数々の難題だった。
その一つが、道路交通法の壁。社内でも「99%無理」という声が占める中、チームは諦めることなく、開発を進めていく。そして、ついに運輸省や警察庁による試乗会が行われることになる。「感動を届けてこそ」。エンジニアの思いと感動の輪が世界へと広がった、知られざる物語に迫る。