【パリ五輪】ジョコビッチが悲願の金メダル獲得で生涯ゴールデンスラム達成!「心、魂、身体、家族、全てを捧げた」<SMASH>
ここで主導権を握ったのはジョコビッチだった。鋭いアングルショットでアルカラスを攻め立て、2度のミニブレークを獲得。迎えたセットポイントではアルカラスのドロップショットとパッシングショットを読み切ってポイントを奪い、94分にも及んだ第1セットを先取した。 第2セットに入ってもジョコビッチはプレーの質を落とさない。隙あらばアグレッシブに攻撃し、相手コートに深く突き刺さるバックハンドに加え、得意のフォアハンドのカウンターやドロップショットも交えてアルカラスに食らい付いていく。対するアルカラスも要所を締め、結局このセットも互いにサービスダウンがないままタイブレークへ。2-2で迎えた5ポイント目で、フォアクロスのウィナーを叩き込んで流れをつかんだジョコビッチがこのタイブレークを制し、見事に“5度目の正直”を成し遂げた。 勝利後には感激のあまりコートで身体を震わせながら号泣したジョコビッチ。アンドレ・アガシ(アメリカ)、ラファエル・ナダル(スペイン)、シュテフィ・グラフ(ドイツ)、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に次いで5人目の生涯ゴールデンスラムを達成した37歳の鉄人はシングルス最年長での金メダル獲得を次のように喜んだ。 「何と言っていいかわからない。正直、まだ驚きを隠せていない。37歳でオリンピックの金メダルを獲得するために、心、魂、身体、家族、全てを捧げた。ついにそれを達成できた」 一方敗れたアルカラスは、1924年パリ五輪のビンセント・リチャーズ(アメリカ)による21歳123日を更新する史上最年少での金メダル獲得とはならず。なお3位決定戦ではムゼッティがフェリックス・オジェ・アリアシム(カナダ/同19位)を6-4、1-6、6-3で下して銅メダルを勝ち獲り、イタリア人選手として同1924年パリ五輪のウンベルト・デ・モルプルゴ以来実に100年ぶりの快挙となるメダル獲得を果たした。 文●中村光佑