「パットが外れた時、多少長くても、お先にとやることが多いんやが、それも戦略のうちの一つなんや」【“甦る伝説”杉原輝雄の箴言集㉒】
ショートパットでは思考を単純化する
ーー「ショートパットでは、たった一つのことをやることに集約して、“考えすぎ”を防ぐのが克服法や」 ボクは3メートルのパットより、1メートルのパットが難しいと考えています。なぜかというと、「絶対に入れなければならないパット、決して外せないパット」と思うからです。そやから、迷いが出るし、不安もかきたてられ、プレッシャーがかかるんだと思います。 ロングパットなら確実に寄せようと考えたらいいし、ミドルパットなら入れば儲けもの、外れてもしょうがないなと思えばいい。だが、ショートパットとなるとそう簡単に問屋がおろしません。必ず入れるための決断が必要になるからです。強く打てばいいのか、傾斜を目測して流しこむか...…などの考えで気持ちは錯綜としてきます。 「平凡なことを、確実にやらないかん」という状況が、ゴルファーを苦しめるわけです。 ボクはこんな局面にたたされたら、問題を一つに絞って単純化します。 「あれこれ考えるな。動作は一つ。パターヘッドを目標めがけて30センチほど往復させるだけや」 思考の単純化がすべてを解決するわけやないが、体の動きが楽になることは確かです。そうなるとリラックスできてきて、自分のチェックポイントもしやすくなります。 ボクのパットでの欠点は、①テークバックでヘッドがアウトサイドに引ける、②インパクトで右肩が前に出る、というもの。これももっとも犯しやすい欠点を一つだけチェックします。自分のやることにだけ目を向けるのです。ヘッドからボールが打たれたらあとは神様の領域です。ヘッドからボールが離れるまでのことで一つだけ考えること。これがボクのショートパット克服法です。 文/古川正則(ゴルフダイジェスト特別編集委員)
みんゴル取材班
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