道長をかき乱す三条天皇の切れ者ぶりにSNS驚愕…父としても政治家としてもつらい、道長の失策【光る君へ】
「顕信を蔵人頭に」を辞退した道長、まさかの展開に
倫子に対抗意識を燃やし、自分が生んだ息子たちの出世をたびたび道長にゴリ押ししてきた明子女王。長男の頼宗(上村海成)はまだのんびりとしているが、次男の顕信は母親の焦りと期待をそっくり受け継いだような性格に。これはちょっとやっかいだなと思われた矢先に、三条天皇から「顕信を蔵人頭に」という話が持ち上がるが、道長は辞退した。この理由については、顕信が17歳と実際に若すぎることに加え、早々に退位してほしい天皇と、自分の息子とのつながりを強めたくない、などの事情があったよう。 しかしもし三条天皇が、顕信の性格を考慮してこの話を打診したとしたら・・・? 彼が蔵人頭になれば、道長も息子のためにあまり自分を無下にはできなくなる。もし断ったとしたら、顕信は激情にかられて道長を困らせる方向に走る可能性が高い。その結果、顕信は突然出家するという、天皇にとっては最高に効果的な行動に出た。勝手な出家=ほぼ自殺というこの時代の感覚は、一条天皇の后・藤原定子(高畑充希)の出家騒動で、『光る君へ』の視聴者は予習しているはず。 自分の政治判断が息子を「死」に追いやったのは、政治家としても親としても、両方の面でダメージを食らったはず。ここまで計算してこの話を道長に持ちかけたのだとしたら、三条天皇には感心するどころか、とんでもない策略家だとひれ伏すしかない。おそらくは東宮の身分に甘んじた20年以上の間、政治学をみっちりと学んで、本番に備えてきたのだろう。これがただただ野心的なだけの中身空っぽの人間なら、道長くんもまだやりやすかっただろうに・・・。 しかも道長にとっては、父・兼家(段田安則)の命を呪詛で奪った疑惑を持つ、明子様に恨まれるという災難まで降りかかった。ブチ切れた明子様が、道長を呪詛するなんて展開だけはどうか来ませんように! と祈るしかない。 さらに追い打ちをかけるように、三条天皇に入内した次女・妍子に密通未遂があったなんて聞いたら、もう道長くんのライフはゼロだろう。ここからいかにして大逆転が訪れるのか? そこにはやはり、まひろLOVEのパワーが大きな力となるのか? がんばれ道長くん、望月の歌を詠うまではあと少しだ! ◇ 『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。11月3日放送の第42回「川辺の誓い」は、立后をめぐって道長と三条天皇がさらに対立を深めていき、道長に異変が訪れるところが描かれる。 文/吉永美和子