イラストレーター&Vtuberでタレント並みの人気!maruma(まるま)が語る「神絵師の仕事」
VTuberが「ネット内の人気者」というワクを超え、一般企業のCMやイメージアップキャラとしての活躍を行うようになり、認知度が従来のアイドル、タレントと並ぶものになり始めている。 【特別に公開!】神絵師maruma(まるま)さんのキャラクター設定資料 面白い才能が会社によって発掘されたり、プロゲーマーからVTuberになったり、次々とスターが生まれる流れができ始めている。そのひとつが「神絵師」と呼ばれる人気イラストレーターたちだ。自分がデザインしたイラストをアバターにして自らVTuber化し、ゲーム実況や各種企画、絵師としてのスキルを生かしたライブドローイングなどで人気を集めているのだ。 今回はそんな中の一人、コミケでは壁サークル(※その絵師の本を求めて長い行列ができる人気サークルが通行者の行き来をスムーズにするため、壁際に配置されるためこう言われる)の人気イラストレーターであり、Xフォロワー数29.2万人、今年は画集を発売するなど活躍を続けているmaruma(まるま)先生に、そんな神絵師とVTuberの今について聞いてみた。 ◆神絵師が語る「活動のルーツ」 ――maruma(まるま)先生とはどんな人でしょうか? 「普段はフリーランスでイラストレーターをしており、ライトノベル挿絵、カードゲーム、VTuberさんを描かせていただいたりしています。美少女が大好きで、女の子のキュンとするような仕草や照れ顔、制服やメイド服などを描くことが大好きです。maruma(まるま)のカッコ内までがペンネームです」 ――多くの人々に憧れられる職業のひとつである、イラストレーターを志したきっかけはどんなことでしょう? 「子供の頃、お母さんの絵を描いたらものすごく喜ばれて、それが嬉しかったことがきっかけです。どう喜ばれたか具体的には思い出せないんですが、子供にもわかる言葉で感謝を伝えてもらえて。その時に描いた絵はずっと家に飾ってあります。 そこから〝絵を描くことが楽しい〟と思うようになりました。その後、『涼宮ハルヒ』シリーズのライトノベルの表紙を見て、すごくかわいいと思って、それからアニメを見てどんどんオタクになっていって(笑)。かわいい女の子を描くことが好きになりました」 ――女性のイラストレーターが“どちらかというと男性向けでは?”と思えるタイプの可愛い女の子を描く、というのが珍しく思えるのですが。 「私自身が、小さい頃から可愛い女の子が大好きだったこともあると思います。最新から過去作まで、さまざまな漫画やアニメ作品を見ている中で『リトルバスターズ!』という美少女ゲームの〝能美クドリャフカ〟ちゃんという亜麻色ロングヘアの小さくてかわいいキャラクターに一目惚れしたことが、かわいい女の子を描き続けているとても大きなきっかけだと思います。描き手が自由に〝かわいい〟〝かっこいい〟〝好き〟を表現できることが絵の魅力だと思います!」 ――なるほど。美少女愛でかわいい女の子を描いていって、そこからだんだん、プロを目指そうと? 「実は、イラストレーターになるつもりはなかったんですよ」 ◆“諦めたほうがいい” ――なるつもりがなかった、とは? 「ずっとイラストレーターになりたくて、絵の専門学校への進学も考えたのですが、先生に〝好きなもので食べていける人なんてほんの一握り。諦めたほうがいい〟と言われました。今考えれば、私の将来を考えて発してくれた言葉なんだと思います。その言葉が当時の私には効いてしまって……。 イラストレーターになりたい! という夢を応援してくれる先生が周りにいなかったので、“もうイラストレーターになるのは諦めよう”と。それで“大好きな動物と一緒にお仕事ができるトリマーになろう”と思ったんです。ちなみに、その先生のことはとても尊敬していて、後日談にはなりますが、イラストレーターになったよ、と報告した時にすごく褒めていただき、お仕事も下さいました」 ――トリマー志望から、再度イラストレーターを志したきっかけは? 「ある時、転倒した際に両手の腱を切ってしまい……。お医者さんに見せたら〝もう元には戻らない。手術が必要で術後は重たいものを持つのは禁止〟と言われちゃって。 トリマーっていろいろな犬を持ち上げたりするので、結構、腕力が必要なんです。それでトリマーの道もまた諦めるしかありませんでした。そうしたらもう何もなくなってしまって……。ならせめて、利き手だけでも治して大好きだった絵を描こう、と思いました」 ――術後、絵を描けるようになるまで、相当大変だったのでは。 「包帯で右手が使えない間も、絵を描く感覚だけはつかんでいたい、忘れたくないと、左手でずっと描いていました。包帯を解いてからも、利き手なのに思うようにペンを持つこともできず、描けませんでした。リハビリしながら絵を描くことを少しずつ少しずつ毎日続けて、なんとか描けるようになっていきました」 ――すごい情熱ですね。そんなmaruma(まるま)先生が、VTuberという試みを始めたのはなぜでしょうか。 「ずっと前に、尊敬するクリエイターの方がLive2Dを使って素晴らしい作品を作っていて、それを見て感動した、ということがあり、その頃得た知識から、私もやってみたいなぁと思っていました。 そんな中でVTuberの世界がどんどん楽しそうなものになっていったことや、自分の尊敬するイラストレーターさんがVTuberデビューしたのを見たことで、〝自分で描いて、自分が好きな要素を全乗せにした子を、自分で動かすことができたら、とってもすごいんじゃ?〟と思い、始めたくなりました。ただ、なかなか勇気が出ませんでした(笑)」 ――なかなか勇気が出なかった中、実際に始めた理由は? 「VTuberの姿が、私の中で満足いくデザインに仕上がったので、発表したいと思ったんです。私の描いた絵を知ってもらう機会を増やしたいと思ったこともきっかけですね。絵を知ってもらうための入口を増やす方法のひとつとして始めた、という感じです。 イラスト以外のこと(ゲームなど)でも、自分を表現したい……と考えたこともきっかけになりましたね。思い切る、という話で言えば、私は自分の声にコンプレックスがあって……でも、かなり悩んだ結果、思い切って始めました。始めてみたら、そんなこと気にしているよりもずっと楽しくて」 ――VTuberを始めるにあたって、戦略などは立てましたか? 「今も昔も、イラストレーターとして楽しいことをやろう、としか考えていません……!」 ――今現在、VTuberとしてはどんなことを? 「主にゲーム配信をすることが多いです。時々イラスト配信もしています。告知なども! 今後は、イラストを描いている音や作業中のキーボード音などを、リアルに音が拾えるASMRマイクを使ってライブ配信してみようかな? とかいろいろ考えています」 ――ゲームもお好きなんですね。 「はい、大好きです。モンハン(モンスターハンター)、ポケモン、ホラーゲーム全般、あとはゼルダの伝説シリーズは大好きです」 ◆自分のキャラ「猫宮さん」に勇気をもらった ――配信をやる上で、必要なものはなんでしょう? 「雑談配信などであれば、自身とカメラ(スマホかWebカメラ)、配信サイトのアカウント(YouTubeやTwitch)、マイク、OBS(配信するためのソフト)ですね。今ではSNSでもたくさん始め方が公開されています。 ゲーム配信だと、Nintendo Switchやスマホゲームの場合はキャプチャボードをプラスする感じでしょうか……? 本業ではないので、間違っていたらごめんなさい! それから、PCのパワーが必要になってくるかも。絵を描くために、結構なハイパワーPCを使っていますが、配信の時のほうがパソコンが重くなりますね……。 来年頭に出る『モンスターハンターワイルズ』の配信をしたいと考えていて、それはそもそもゲームだけでもすごく性能を求められるので、PCを買い替えたいな、でも推奨スペックがすごいな……と思っています(笑)」 ――イラストを描くための、アイデアなどはどうやって思い浮かべているのでしょう? 「私の場合は、頭の中に〝描きたいこと〟がふわっと浮かんできて、それをすぐラフの形でメモって、それから線を入れて、色をつけて、絵にする、という感じです。絵を描こう! と思っている時には、そういうアイデアは浮かんでこないのですが、他のことをしていたり、散歩していたり、寝ている時に、ふわっと絵が浮かんでくるんです。 睡魔に勝てないくらい眠い時や、メモ帳を持っていない時に限って、いい考えが出てきたりしますね(笑)。それをすぐラフの形で……アナログ好きなので手帳にメモして、それを絵にしています。くやしいのが、夢の中で見る絵って、現実よりものすごく絵がうまいんですよ。頭の中で描けているなら、実際にもできるはず、とは思うのですが、難しくて(笑)。その夢に追いつきたいですね」 ――今、現在大きな評価を集めているわけですが、ここに至るまでに、挫折や転機などありましたら。 「挫折ばかりです。ある時、オリジナルを描いたらもう気持ちいいくらいのぼこぼこの大惨敗で(笑)」 ――現在はオリジナルを積極的に描かれていますが、そこにも転機が? 「はい。ある時、クリスマスの時期に〝猫宮さん〟というオリジナルキャラを描いてアップしてみたんです。それまで、あまりオリジナルは描いてなかったのですが、描きたいから、描こう! と思って。そうしたらとても好評で、初めて創作キャラが日の目を浴びて……! その出来事が自分にとってすごく大きく、勇気をもらいました」 ◆心の中の自分に応援してもらう ――これでイラストレーターとしてやっていける! と思えたのはいつですか? 「今でも自信はないんですが、猫宮さんが評価していただけたことで、ひとつ大きな勇気をもらえました。自分のオリジナルキャラクターに声がつき、体が動いているところが見られたら………アニメ化したら嬉しいです。 他にも、VTuberとして〝歌ってみた〟やオリジナルキャラのフィギュア化、ぬいぐるみ化も……やりたいことがたくさんあります」 ――先生のように、絵師&VTuberをやりたい人にアドバイスをお願いします。 「〝強いメンタルでポジティブに!〟まずはそれだけで。始めることもすごく大変ですが、それ以上に続けることがまた大変だと思います。何事も本気で続けることが、大切で素敵だと感じます。 イラストに関して言えば、絵が思い通りに描けない時、どうやって良くしようと悩む時間は孤独で、少し苦しくなる時もあります。でも、これを乗り越えたら、もっと最強になれる! と心の中の自分に応援してもらい、楽しさを見出して手を動かし続けています」 ――イラストレーターの仕事をやっていてよかった、と思えることはなんでしょうか? 「描いた絵をお渡しした時、〝maruma(まるま)さんに依頼してよかったです〟と言ってもらえることが本当に嬉しいです。イラストは自分の表現をみんなに見てもらうだけでなく、絵を通して、沢山のつながりと、感動を与えてくれるものです。イラストにはいつもたくさん救われています」 ――神絵師とVTuber、両立させるメリットと、それを続けるための苦労は? 「イラストの活動も、VTuberの活動も、メリットを探してやったことはないです。メリットを求めよう、という考えになると、活動が楽しくなくなっちゃうので。楽しくどちらも活動しています。 ちょっとした悩みならあって……絵を描いてると配信できない! ということがすごい悩みです。もっとたくさん配信したい! 体が一つしかないことが悔やまれます」 ――最後に、フライデーデジタル読者にメッセージを。 「ここまで読んでいただき、ありがとうございました。活動している場所もいくつかあるので、チェックしていただけたら嬉しいです! 今年、これまで描き歩んできた軌跡を1冊にまとめていただき、『恋ぱれっと』という画集として出版しました。 猫宮さんをはじめ、他にも3人オリジナルキャラが載っています。個別に細かいプロフィールもあるので、ぜひ見ていただきたいです。もし、ご興味を持っていただけたら、お手に取っていただけると嬉しいです……!」 取材・文:来栖美憂
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