「農業に親しんで」園児がサツマイモの植え付け体験 長野・千曲市
「大きなお芋に育ってね」。長野県千曲市で18日、保育園児たちによるサツマイモの植え付けが行われました。地元の農業者や農業団体などが「子どもたちに自然の力を感じてもらおう」と行っている毎年恒例のイベント。園児らはサツマイモの苗を丁寧に植えながら、10月ごろになる収穫が待ち遠しいという表情でした。
園児らの植え付けはこの日と5月29日の2回行い、初回は地元の雨宮、あんず、あかね、あかね北の公私立4保育園、2回目は市立屋代保育園が参加。合わせて214人の子どもたちが体験します。 農作業体験は地元の農業者有志、観光農園「あんずの里アグリパーク」、千曲市、ながの農協などでつくる「千曲市農作業体験づくり実行委員会」(倉島清会長)の主催。「子どものころから植物や土に親しむことで農業に関心を持ってもらおう」という願いを込めて8年続き、それ以前に行っていたチューリップの植え付けからは20年続く伝統のイベントです。
この日は千曲市屋代のアグリパークに4保育園の園児172人が集まり、園内の畑でサツマイモ「べにはるか」の苗をそれぞれ2、3本植えました。 木のへらを斜めに差し込んで苗を地中に入れていく作業は、園児にとってやや高度。倉島会長が事前に丁寧に説明し、園の職員らの手伝いで一斉に植え付けに取り組みました。植え付けが終わった後は、近くのハウスでイチゴの食べ放題を体験。園児らは「おいしいよ」とうれしそうでした。
例年、秋の収穫期には園児が芋を掘り起こし、「こんなに大きいよ」と歓声が飛び交います。収穫したサツマイモは各保育園で給食や焼き芋大会に利用し、皆で味わいます。当初から20年近くこのイベントに携わってきた倉島会長(76)は「子どもたちが土に触れる体験はいいことですね。サツマイモにもいのちがあることを知ってほしい」と話していました。 農業者の高齢化や担い手不足に悩む長野県では、各地域で子どもらを対象にした農作業体験が盛ん。植え付け作業のほか稲刈りなども行われています。成人向けにも農業に関心を持ってもらう狙いで県の農業大学校が就労体験研修を行ったり、農業体験バスツアーなども計画されています。 サツマイモの植え付けは野外体験としても保育園に評価されており、農業関係者らは子どもたちの農作業や自然への関心の広がりに期待しています。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説