【厚生年金】「月額25万円以上」をもらえるのは1割未満?公的年金制度の仕組みと受給額のリアルを解説
「国民年金(基礎年金)のみ」での受給額は?
先ほどお伝えした厚生年金の平均月額には国民年金も含まれていましたが、今回は国民年金(基礎年金)のみの受給額に焦点を当ててみましょう。 ●国民年金(老齢基礎年金)の受給額 ・〈全体〉平均年金月額:5万6316円 ・〈男性〉平均年金月額:5万8798円 ・〈女性〉平均年金月額:5万4426円 ●【国民年金】受給額ごとの人数(1万円刻み) ・1万円未満:6万5660人 ・1万円以上~2万円未満:27万4330人 ・2万円以上~3万円未満:88万1065人 ・3万円以上~4万円未満:266万1520人 ・4万円以上~5万円未満:465万5774人 ・5万円以上~6万円未満:824万6178人 ・6万円以上~7万円未満:1484万7491人 ・7万円以上~:178万3609人 国民年金(基礎年金)のみの受給額は、月額平均で約5万6316円です。 この金額は、厚生年金に加入していない自営業者や非正規雇用の方々などが受け取る基本的な年金額となります。 月額5万6316円では、老後の生活費を賄うには十分とは言えないのが現実です。
【厚生年金と国民年金から考える】老後資金を増やす戦略とは?
将来の年金受給額に関する情報収集と計画は、老後の安定した生活を実現するために非常に重要です。 ここでは、効果的な方法をいくつか紹介します。 ●ねんきん定期便とねんきんネットを活用 まずは、自身の年金受給予定額を把握することがスタートポイントです。「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を利用して、定期的に年金情報を確認しましょう。これにより、現在の状況や将来の受給額を具体的に知ることができます。 ●現役時代の収入を増やす 厚生年金は現役時代の収入に応じて受給額が決まるため、収入を増やすことで将来の年金額も増加します。給与アップや副業など、収入を増やす努力は将来の安心に直結します。 ●年金の繰り下げ受給 年金は65歳から受け取るのが一般的ですが、受給開始を遅らせることで受給額を増やすことができます。65歳で受け取らずに66歳以後75歳までの間で繰り下げて増額した年金を受け取ることができます。 繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額率は一生変わりません。 ただし、この期間の生活費をどうするか慎重に計画する必要があります。 ●私的年金や資産運用 公的年金だけに頼るのではなく、私的年金や資産運用を活用することも重要です。iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を利用して、少額からでも投資を始めることができます。これらの制度は税制優遇もあるため、長期的に見て有利です。一方で、投資である以上リスクがあることには注意です。 ●老後の生活費を見直す 老後の生活費をシミュレーションし、無駄な支出を削減することも大切です。家計管理を見直し、必要な生活費を把握することで、より計画的に資産を運用できます。 ●退職後も働く 定年後も継続して働くことで、年金受給開始を遅らせ、その分受給額を増やすことが可能です。また、退職後の収入があることで生活費の補填にもなります。 ●まとめ 老後資金の準備は早い段階から始めることが重要です。ねんきん定期便やねんきんネットを活用し、自身の年金受給予定額をしっかり把握することから始めましょう。 その上で、現役時代の収入増加、年金の繰り下げ受給、私的年金や資産運用、生活費の見直しなど、多角的なアプローチで老後資金を計画的に増やしていくことが求められます。今回の情報を基に、あなたに最適な老後資金の作り方を考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ・日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」 ・日本年金機構「ねんきんネット」とは? ・総務省統計局「家計調査(家計収支編)最新結果 2023年(令和5年)平均(2024年2月6日公表)」
齊藤 慧