浸水仮設の30人超救出 奥能登豪雨で輪島署員 泥水口に、身を挺し 市長が署訪れ謝辞
先月の奥能登豪雨で、輪島署員9人が床上浸水した輪島市宅田町の応急仮設住宅から30人以上の住民を救い出した。線上降水帯の影響で一気に水かさが増す中、逃げ遅れたお年寄りを背負うなどして安全な場所まで誘導した。29日、坂口茂市長が同署を訪れ、署員ら約40人を前に謝辞を述べ「身を挺(てい)して仮設の住民の命を守ってもらった」とたたえた。 【写真】仮設住宅一帯が冠水し、腰の高さまで水に漬かった女性のもとに向かう警察官=9月21日午前10時5分、輪島市宅田町 ●お年寄り背負い 輪島署によると、豪雨が発生した先月21日午前、「宅田町の仮設住宅で車が水没している」と通報があり、署員が現地に向かった。仮設住宅一帯が冠水しており、午前10時ごろから約2時間半かけ、署員9人が手分けして1軒ずつ仮設住宅の部屋を回った。 署員は胸の高さまで水が迫る中、泥水を口にして救助に取り組んだ。濁流に取り囲まれ、屋内で身動きを取ることができなかったお年寄りを背負ったり、手を引いたりして、近くのショッピングセンターや市立輪島病院まで避難させた。 坂口市長は元日の能登半島地震以降、市民の安全安心のため尽力する署員や全国から派遣された警察官の活動にも感謝した。これまで沖縄県を除く45都道府県から延べ約2万3千人の警察官が被災地に派遣されており、遠藤英之署長は「市民が安心して安全に暮らせるよう、一丸となって取り組む」と応じた。